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トランプ政権が「日本円」に照準…!日本経済に新たな危機の「芽」

米財務長官「為替条項」発言を警戒せよ

G20で飛び出した、米財務長官の「為替条項」発言

10月13日、バリ島で行われていた20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者団に対し、ムニューシン米財務長官は新たに交渉が始まった日本との物品貿易協定(TAG)に関し「為替問題は同交渉の目的の一つ」と述べ、通貨安誘導を封じる為替条項を日本にも求める考えを明らかにした。

写真中央がムニューシン米財務長官。G20にて〔photo〕gettyimages

トランプ政権発足以降、日米貿易交渉の拗れは常に市場の注目論点だったが、それはこのように交渉の俎上に「為替」が入ってくることを警戒したものだった。北米自由貿易協定(NAFTA)交渉でも、米韓FTA修正交渉でも為替条項の導入は俎上にのぼり、実際導入に至っているからだ。

実際、NAFTA新協定(USMCA)に係る協定文には、相手国が輸出競争力の改善を企図して通貨安誘導した場合、報復関税などの対抗措置を認めるとする為替条項が明記されている。

米国、メキシコ、カナダの協定国間において相手国の通貨切り下げが疑われる場合、60日間にわたる協議で解決できなければ紛争解決のための小委員会に審理を委ねることになっているという。ここで為替操作が認定されれば報復関税などの対抗措置が容認される。

 

一方、米韓FTA修正交渉の署名は9月24日に両首脳間で行われているが、ここにおける為替条項の取り扱いはいまだ物議を醸している。署名に際し、ホワイトハウスは「FTAの条文とは別に、米国の財務省は競争的な通貨切り下げと不公正な競争優位をもたらす慣行を避けることで韓国と合意している」と発表して為替条項の合意を公にしているが、韓国政府は為替条項に関し「米韓FTAとは別の事案」との見解を示し、「為替に関する新たな合意はない」と否定している。

もとより今年3月時点では為替条項は付帯協定の1つであり、法的拘束力をともなわない論点とされていたはずだが、その付帯協定の公文書は今のところ発表がない。カナダ、メキシコと異なり、通貨高に伴う輸出競争力の劣化が死活問題になりやすい経済構造も手伝い、為替条項を巡る論点は一筋縄ではいきそうにない。

このように米国が韓国に対して一方的に合意を主張したような経緯を踏まえれば、今回の日米TAG交渉に絡んで為替条項の要求が出てきたこと自体、意外感はない。

10月14日、茂木経済財政・再生相は為替条項の要求について9月の日米首脳会談でまとめたTAG交渉に係る共同声明には「為替のかの字もない」と述べ一蹴しているが、米韓FTAと全く同じ構図である。