photo by SOUTH CHINA MORNING POST

中国「武闘派女性記者」が英国保守党大会で大乱闘…の深層心理

対外イメージ相次ぎ低下なのに頻発

「背後には強大な祖国がある」

「日本のメディアは、どうして中国の現状についてもっと報道しないのでしょう?」

先日都内で開かれた中国関係者の食事会に参加した時、初対面の日本人が突然筆者に聞いてきた。

中国製品の物販サイトなどを手がけているというこの男性は、その一例として「例えば中国では昨年映画『ウルフ・オブ・ウォー』が大ヒットしましたが、日本のメディアではほとんど伝えていませんよね?」という。

彼の口から『ウルフ・オブ・ウォー』という言葉が出たのを聞いて、「確かにそうかもしれないけど」と言いながらも、思わず苦笑いしてしまった。最近この『ウルフ・オブ・ウォー』ばりの女傑が英国で大暴れしたのが、大きな話題になっていたからだ。

『ウルフ・オブ・ウォー』(原題は『戦狼』)は中国のアクション映画で、大ヒットした第2作は、アフリカの某国で中国人民解放軍の元特殊部隊員が、悪役の欧米人傭兵部隊から現地人や中国人を守る内容。

 

「犯我中華者、雖遠必誅」(我が中華を犯す者は、遠きにありても必ずや誅せん)という決め台詞が有名になり、世界の映画興行収入トップ100に入った初のアジア映画となった(2017年8月、中国紙『青年参考』より)。

ただ興行収入は中国国内では約56億8000万人民元(約920億円)の大ヒットだったが、米国では272万ドル(約3億円)と不人気だった。

だがこの映画は攻撃的な愛国主義を強く押し出したとして、ベトナムやアフガニスタンを舞台に強いアメリカを押し出した米国映画『グリーンベレー』や『ランボー』の中国版だとの指摘を受けた。

特にアフリカを舞台に中国の特殊部隊が活躍するという設定は、以前(3月7日)、このサイトでも取り上げた中国中央テレビ(CCTV)の春節特番で、アフリカを取り上げたコントが問題を呼んだように、中国がアフリカを自らのテリトリーと考えているとのメッセージを与えたことになった。

「我が中華を~」と並ぶこの映画の有名なセリフは、「あなたが海外で危険に遭遇した時、諦めてはいけない!あなたの背後には、強大な祖国があるということを忘れないでほしい!」というものだった。

ここから、海外でトラブルに巻き込まれた時、「中国(人)を侮辱した!」などとすぐに「中国」を持ち出し、国歌を歌うなど騒動を起こすことを、「戦狼式維権」(戦狼式の権利主張)と呼ぶようになった。例えば以前(2月6日)取り上げた成田空港での国歌合唱騒ぎもその一つで、こうした行動がますます「傲慢」だと海外で反感を呼ぶようになった。

そしてこの映画のヒットから、外国で攻撃的な態度を取る中国人を自虐的に「戦狼」と呼ぶようになっている。先に英国でこの「戦狼」がひと暴れしたと書いたが、今回戦狼を演じたのはCCTVの女性記者だった。