バブル期には一世を風靡し今世紀に入っても『モテるオヤジ』で再ブレイクしたイタロファッションだが、昨今は「グッチ」や「モンクレール」など一部のスーパーブランドを除けば、すっかり影が薄くなった感がある。いったいどうしてイタロファッションは人気を失ったのだろうか。
この夏、楽天がフリマアプリ「ラクマ」のユーザーに『ファッションの参考にする国』を聞いたところ、10代〜20代では韓国、米国、30代では米国、韓国、40代では米国、フランスが1、2位を占め、イタリアは10代〜30代では5位、40代でも4位と不人気で、50代でようやく米国、フランスに次ぐ3位に顔を出すに留まった。
フリマアプリのユーザーゆえ市場全体の傾向を代弁しているとは言い切れないが、『イタロファッションは高年齢層にしか受けない』という近年のイメージを裏付けた。
若い世代には受けなくてもアダルト層には根強い人気があると思われて来たが、それも最近は怪しいようだ。
『モテるオヤジ』で一世を風靡したメンズファッション誌「LEON」の発行部数もイタリアからの衣料輸入数量と軌を一にするように14年頃からジリジリと下降しており(下図)、若々しいサーフやアメカジ、スポーツやアウトドアがライフスタイルを彩る「Safari」や「OCEANS」に読者が流れている。
“モテる”を強調してはセクハラおやじと誤解されかねない今時の風潮も逆風で、脱税やパワハラなどイタロファッション企業の“脱法”イメージもコンプライアンスが問われる昨今ではマイナスが大きいようだ。
実際、イタロファッションには艶なイメージが定着して“正直”“公正”なイメージには遠く、お遊びのシーンはともかくビジネスシーンには憚られてしまう。ビジネスシーンでは“正直”“公正”なイメージが漂うブリティッシュスタイルが根強い人気を保っているのもうなづける。