福島の米「食べて応援は自殺行為」とまだ信じている人に伝えたいこと

すでに結論は出ています
林 智裕 プロフィール

私はひとりの福島県民として、政府や東電への批判や廃炉対応の注視、情報公開や責任の追及は適切に行われるべきだと考えています。また、原発の是非についても広く自由な議論がなされるべきでしょう。

ただし、たとえば政党やマスメディアが、事実をないがしろにした言説を広めたり、それにかかわった人物を何の総括もなく起用し続けることは、長期的には政党やマスメディア自身の信頼を大きく失うことにつながります。仮に本気で政府や東電の瑕疵を批判し、脱原発を進めたいのであれば、決してデマに依存してはなりません。事実を軽んじ、被災者が笑顔を見せることすら許そうとしない「運動」に、未来などないのです。

 

福島の農産物の現在

筆者がもっとも伝えたいのは、オカルトや虚構は置き去りにして、現実の福島は着実に前に進み続けている、ということです。

今年7月に、日本とEUの間で経済連携協定(EPA)の署名が行われました。
この協定が昨年大枠合意された際、福島にとっても、非常に大きなニュースがもたらされました。合意宣言の中で、EU側から、

“I would like to congratulate Prime Minister Abe on the remarkable progress Japan has made on making products from the Fukushima region safe, following the 2011 accident. I am confident and I will work into that direction that we will have after the summer break a further lifting of import measures.”

と、福島の食品に対して異例とも言える名指しでの言及があり、安全性を認めた上での輸入規制解除へと繋がったのです。

福島県産品は、国内では今も苦戦を続けているものの、桃や米、梨などを中心とした農作物の輸出量は、実は震災前の量をすでに超えています。たとえば、福島の桃は現地での好調な売れ行きを受け、近年は毎年輸出量を大規模に拡大していることがわかります(https://www.sankei.com/region/news/180424/rgn1804240025-n1.html)。

PRが下手なこともあってピンとこない方も多いかもしれませんが、そもそも福島の農作物は本来、その品質の高さこそが自慢です。

例えば、日本穀物検定協会の米の食味ランキングでは昨年度、福島県から全国最多となる4銘柄が最高ランク「特A」を獲得しました。

他にも、福島県天栄村産のお米は「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」において世界一の称号とされる金賞を、これまで9年連続で獲得しています。

また、震災があった2011年秋、福島県オリジナル品種としてデビューした「天のつぶ」は「特A」に次ぐ「A」評価ではあるものの、特徴的なお米です。

粒が大きく硬さもしっかりしているため、粒同士の間に空気が入りやすく、ほっこりした心地良い食感が楽しめるのです。ちゃんと米の旨味も感じさせつつ、決して主張しすぎない。美味しいおかずを食べたときの「白米が欲しくなる!」という気持ちに応えることに、特化したお米と言えるかもしれません。

そうした特性から、福島県産「天のつぶ」は、海外では「Ultimate Sushi Rice(究極の寿司米)」として好評を博しています。やや淡泊で口の中でほぐれるような上品な口あたりを感じさせつつも、ほのかなもっちり感と強めの旨味が噛みしめる程にじみ出てくる・こうした特性は寿司米、特にサーモンなど海外で人気の鮨ネタと合わせるには理想的で、食材の強い旨味をしっかりと引き立ててくれます。

加えて、汁気が多い料理でも身が崩れにくいために、丼物やオムライスの他、カレーライスにしても絶大な相性の良さを誇ります。

最後に、海外で特に人気の福島県産品と言えば、日本酒です。

福島の酒は近年、明治時代から続く全国新酒観評会で史上初となる、「金賞受賞数6年連続日本一」を達成しています(ちなみに2005年以降の13年間連続で、毎年金賞受賞数2位以上に君臨し続けてもいます)。また、世界最大規模のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)日本酒部門の最新結果では、世界一の称号となる「チャンピオン・サケ」に福島の「奥の松酒造」が輝いています。