福島の米「食べて応援は自殺行為」とまだ信じている人に伝えたいこと

すでに結論は出ています
林 智裕 プロフィール

「日本の基準値は緩い」は本当か

では、日本の放射線基準値は、現在どのように定められているのでしょうか。

原発事故前の日本には、国内の食品に対する基準値はありませんでした。敢えて言えば、海外からの輸入食品に対してのみ「370Bq(ベクレル)/kg」とされていました。チェルノブイリでの原発事故の影響から、ヨーロッパからの輸入食品ではときどき、この基準を超える食品も見つかっていました。

 

震災直後、日本では一般食品の放射性物質の基準値として「500Bq/kg」という暫定値が定められました。

この数値は、国際的に見ても非常に厳しい基準値です。

たとえば米国では1,200Bq/kg、EUやコーデックス委員会では1,250Bq/kgや1,000Bq/kgとされています。これはおそらく、日本の基準値が実際の安全性以上に、より「安心」に強く寄せてあるからと言えるでしょう。

厚生労働省により2012年4月から施行された基準値

この暫定基準値が設定されたときには、「日本の基準値は緩い」と吹聴する噂話が絶えませんでした。

たとえばインターネット上でまことしやかに広まった噂の中には、「ドイツの基準値は成人8Bq/kg、幼児4Bq/kg」というものもありましたが、これは「ドイツ放射線防護協会」を名乗る市民団体が、科学的な根拠もなく自主設定している数値に過ぎません。表を見てもわかるように、実際にはEUでの基準値は、日本よりも甘く設定されています。

その後2012年4月1日には、「安心」へとさらに強く寄せた「100Bq/kg」が日本の基準値とされました。しかし、暫定基準値からさらに厳しくなった、この新しい基準値に対してさえも、大学関係者などの知識人を含む一部の方々からは批判が寄せられました。