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米中新冷戦で、トランプが日本に突きつける「究極の選択」

とんでもない条項とは?

もはや「貿易戦争」ではなく「新冷戦」

中国を訪れたマイク・ポンペオ米国務長官は10月8日午後4時から北京市内の釣魚台国賓館で習近平国家主席と会談することになっていたが、中国側がドタキャンしたことで実現しなかったことは、現在の米中関係をまさに象徴している。

筆者がワシントン滞在中の10月4日、11月中旬のアジア歴訪を前にマイク・ペンス副大統領はハドソン研究所で講演した際、「中国は米国に内政干渉しようとし、これまでになく力を誇示している」と発言した。

 

11月6日の米中間選挙を念頭に置いた「内政干渉」発言であるが、ペンス副大統領が政治、経済、軍事のあらゆる分野で中国が目指す政策そのものに批判の矛先を向けたことで、これまでの米中貿易戦争の域から安全保障面での対立の様相も帯びてきた。「米中新冷戦時代」の到来である。

[写真]中国の政策全般を厳しく批判したペンス副大統領(Photo by GettyImages)中国の政策全般を厳しく批判したペンス副大統領(Photo by GettyImages)

事実、10日のニューヨ-クのダウ平均は一気に800ドル下げ、11日の東京株式市場の日経平均株価も前日比915円安の2万2590円で引け、世界同時株安を招いた。

もはやトランプ大統領は中国との貿易交渉を望んでおらず、中国をトコトン締め上げることに注力しているのだ。

これは中間選挙を視野に入れた短期的な戦略ではなく、中長期的に中国を追い詰める意図から来るものである。それでも日米ともに金融市場はいまだ貿易摩擦という面でしかとらえていないが、事態はより深刻な米中対立、例えば、先日の南シナ海で航行の自由作戦を展開中の米海軍イージス艦に、中国海軍の駆逐艦が45フィート(約41m)のニアミスをするといったような一触即発の事態が現実味を帯びてきた。

米中関係は今や旧ソ連時代の「米ソ冷戦時代」に近い状況にあるのだ。それを象徴する出来事があった。得意満面のトランプ大統領がホワイトハウスの中庭で「勝利宣言」の記者会見を開いた、カナダとのNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の結果である。

[写真]ホワイトハウスのスタッフを集め、得意満面で会見を行うトランプ大統領(Photo by GettyImages)ホワイトハウスのスタッフを集め、得意満面で会見を行うトランプ大統領(Photo by GettyImages)

メキシコに続いてカナダも米国の強硬姿勢に屈して「米・カナダ・メキシコ協定」(新NAFTA=USMCA)を締結したが、同協定のArticle 32.10(32.10条項)がそれだ。なんとカナダ、メキシコによる中国との貿易協議・協定に関して、米国は実質的な拒否権を持っている。

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