ファミマ・ドンキ連合が「アマゾン最大の弱点」を狙い撃ちする可能性

巨大な店舗網の活用法、それは…
松岡 真宏 プロフィール

「商品受け取り」という大問題

Eコマースには、リアル店舗に対して圧倒的な強みを持つ部分がある。それは、「消費者が商品を選択して、代金を支払う」という行為においてである。リアル店舗に訪問しなくても、Eコマースであれば、スマホでいつでも好きな時に商品を選択し、事前登録しておいたカードなどで支払いまで済ませることができる。

一方、Eコマースプレイヤーにとって最大の難関は、消費者による「商品の受け取り」の問題だ。

現在の宅配の仕組みでは、消費者はふつう、宅配ドライバーが配達に来るのを家でじっと待っていなくてはならない。この仕組みは、消費者にとって時間効率が悪いし、再配達などの副次的な問題も惹起している。

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これからは、商品の受け取りにおいて、「宅配ドライバーと消費者が対面しなければならない」という枠組み自体を破壊する必要が出てくるに違いない。つまり、「受け取りのセルフ化」である。

ここに、前述したUFHDとドンキHDの勝ち筋が見えてくる。どういうことか?

傘下のファミリーマートの全国店舗網を使って宅配の受け取りをするだけでなく、ユニーやドンキの保有する全国の大型店舗には、宅配ボックスや宅配受け取り所を設置することが可能である。実は既に、ドンキでは、宅配ボックスの設置を実験的にスタートさせている(現代ビジネスで既報の通り:新事業で再配達に革命起こす…ドンキの「恐ろしいほどの先読み力」)。

 

UFHDとドンキは、消費者との接点(タッチポイント)という点で、Eコマースプレイヤーのみならず、同業他社に対しても圧倒的に有利なポジションを持っている。

イオンはグループにおけるコンビニの存在感が小さいため、宅配のコンビニでの受け取りという観点からは、セブン&アイやUFHDに劣後する。また、セブン&アイは、傘下のイトーヨーカ堂の店舗網が首都圏に偏在しているため、ユニー・ドンキ連合のように全国の大型店舗で宅配ボックスや宅配受け取り所を設置することが困難である。

日本には、自動販売機という世界に誇る巨大なセルフ販売網が存在している。UFHDとドンキの店舗網を活かせば、自動販売機と同様、日本中に「宅配ボックス網」を張り巡らせ、基本的にEコマースの商品を宅配ボックスの受け取り方式にすることができるだろう。

今年7月、ドンキHDが試験運用開始を発表した宅配ボックスサービス(同社提供)

現在、宅配業者の多くは、再配達問題やドライバー不足に直面し、宅配の受注個数を制限したり、宅配料金を値上げしたりすることで対応しようとしている。しかし、これらの対応は、本来企業が行うべき消費者の便益サポートという努力とは逆の方策である。

Eコマースへの対抗軸として、リアル店舗側が仕掛けるべきは、商品受け取りのセルフ化だ。セルフ化は、消費者の時間効率を上げ、また同時に宅配の送料水準を下げる。

そもそも、各商品を個別の家に配送するよりも、大型店舗の宅配ボックスにまとめて運ぶ方が物流効率は格段によいはずだ。また、不要不急の荷物であれば、昼間ではなく夜間に宅配ボックスに運ぶことで、昼間の都市部の渋滞緩和も可能となる。

UFHDとドンキHDの協業は、「商品受け取りのセルフ化」というシンプルな策を通じて、新たなリアル店舗の成長戦略を追求できる可能性を秘めている。