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新書の常識を超えた分厚い「教科書」が規格外のベストセラーになった

科学技術とブルーバックスのあゆみ⑤
「日本で3番目に生まれた新書シリーズ」ブルーバックスのあゆみを追いかける連載企画、いよいよラスト前までやってまいりました。「ゼロ年代」のブルーバックス全体を一気に押し上げた、日米の「教科書」の裏側を紹介します。(前回はこちら)

2006〜2010年(1504〜1707番)

2006年の冒頭、ブルーバックスは画期的な試みにのりだした。理科に対する子ども・若者たちの関心の低下、いわゆる「理科離れ」が憂慮されるなかで、「本当におもしろい理科の教科書」をつくるべく、文部科学省検定教科書の向こうを張った「検定外教科書」を企画したのである。

この年にはまず、高校生向けに『新しい高校生物の教科書』(B1507 栃内新/左巻健男編著)、『新しい高校化学の教科書』(B1508 左巻健男編著)、『新しい高校物理の教科書』(B1509 山本明利/左巻健男編著)、『新しい高校地学の教科書』(B1510 杵島正洋/松本直記/左巻健男編著)の4冊を刊行した。

いずれも通常のブルーバックスの倍近い分厚さで、多数の現役理科教諭を執筆者に起用したため編集作業は煩雑をきわめたが、「これだけは」という項目に絞って「徹底的にわかるように」「なるほどと思わず膝を打つように」こだわった本づくりが奏功し、高校生だけではなく大人にも科学教養書として歓迎され、現在も版を重ねている。

この成功を受け、08年には中学生向けに「ゆとり教育」へのカウンターの意味も込めて『発展コラム式 中学理科の教科書 第1分野(物理・化学)』(B1591 滝川洋二編)、『発展コラム式 中学理科の教科書 第2分野(生物・地球・宇宙)』(B1592 石渡正志/滝川洋二編)を刊行(いずれも14年に改訂版)、さらに数学でも10年に『新体系 高校数学の教科書(上・下)』(B1677、1678 芳沢光雄)、12年に『新体系 中学数学の教科書(上・下)』(B1764、1765 芳沢光雄)を刊行した。

いまや「検定外教科書」シリーズは、ブルーバックスの一大看板となっている。

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06年には、もうひとつの看板も加わった。『図解 鉄道の科学』(B1520 宮本昌幸)は従来からあった「図解」シリーズと「乗り物」の本格的なカップリングであり、作図技術の向上によりコアな鉄道ファンも満足できるクオリティを実現した。

「図解+乗り物」は以後、他の追随を許さないお家芸として、ハイペースで刊行されるようになる。