あなたの「痛みの伝え方」大丈夫…?医者はこんなことに困っている

覆面ドクターのないしょ話 第35回
佐々木 次郎 プロフィール

「ステージはいくつなんですか?」に驚愕した!

2009年、新型インフルエンザが世界的に大流行した。成田空港に到着した乗客の中に発熱患者がいて、新型インフルエンザと診断された。同機に搭乗していた乗客全員が近隣のホテルに強制的に移送・隔離された。知人の息子さんもその中にいたのだが、帰宅しないことを心配して、彼の友人がメールで安否を尋ねている。

「おまえ、大丈夫?」
「チョー絶好調なんだけど……」

 

この頃、WHO(世界保健機構)が用いた「フェーズ4」という言葉も世界的に大流行した。「フェーズ4」と聞いて、その程度についてピンとくる人はいるのだろうか? 「フェーズ4」とは簡単に説明すると、「ウイルスがヒトからヒトへ感染し、地域レベルで流行が予想される状態」のことである。

今度は、「ステージ」に関するエピソードを御紹介しよう。

私は今でも韓流ドラマを見ている。韓流ブームが下火になったと思っていたら、昨年あたりから再度ブームが到来した。韓国料理・化粧品・KPOPなどで東京、新大久保のコリアン・ストリートも大賑わいだ。私の知るところでは、チーズ・タッカルビの人気と女性アイドルグループTwiceの活躍が目覚ましい。

つい最近まで見ていたドラマの筋書きも鉄板ネタで、主人公の二人は幾多の困難の後に結局結ばれる。ヒロインの彼氏は、イケメンで優しくて、彼女にとことん尽くしてくれて、しかも親孝行、という設定だ。愛し合う二人は、ある騒動をきっかけに別れなければならなくなる。

彼は、彼女を忘れようと必死に仕事をしている最中、不治の病に罹ってしまう。体調を崩しマンションの廊下で倒れた後、回り回って元カノであるヒロインに連絡が入った。救急室に駆けつけた彼女は、彼が重い病に罹っていることを知る。元彼がまだ好きだった彼女は泣きじゃくりながら主治医に詰め寄ってこう尋ねる。

「ステージはいくつなんですか?」
「ステージ4です」
「そ、そんな……」

えーっ!? 私は思わず大声を発してしまった。

一般ピーポーがいきなり「ステージはいくつなんですか?」と質問するだろうか?

普通は、「どんな状態なんですか?」「具合は悪いんですか?」「正直に教えてください!」と訊くのではないか?

しかも、「ステージ4です」と説明されて、即座に病状が理解できる一般ピーポーがいることにも驚いた。リアリティの点から脚本の内容に疑問が残った。

話は続く。彼は親孝行だったので、親に心配をかけまいと考え、彼女と二人だけで秘密裏に治療を受ける。しかしひょんなことから両親にバレてしまう。驚いた両親が担当医に詰め寄りこう尋ねた。

「ステージはいくつなんですか?」
「ステージ4です」
「そ、そんな……」

韓国では老若男女、皆同じようにステージを尋ねるものなのか? 職場で韓国事情に詳しいスタッフに疑問をぶつけてみたら、その答えはあっさり……。

「次郎ちゃん、あれ、ドラマだから」