「中国に乗っかり日本も儲ける」官邸の目論見は絵に描いた餅だ

安倍・習の急接近でも、現実味なし
河東 哲夫 プロフィール

日本の融資は時間がかかりすぎる

中国人は案件に手を出すのが速い。

日本が円借款を出す時は、まず相手国政府の要望を聴取するのから始めて、その案件の採算性・経済効果を1年以上もかけて根掘り葉掘り調査する。あげくやっと署名される頃には、先方の担当大臣が代わっていてあまり感謝もされない、ということになりがち。

その点中国は、決断が速いのだ。まず手を付けて、他人に触れさせない。見込みがないとわかると、さっさと放り出す。

「インフラ建設のための資金需要は膨大」とよく言われる。しかし日本の援助機関(独立行政法人JICA等)、輸出信用供与機関(同じくJBIC等)は、その設立法を見ればわかるが、資本を欠損してまで援助、あるいは融資を与えてはならないようになっている。

 

だから資金を貸す場合、相手がそれをきちんと返済できる力と意思を持っているかどうか、その案件が大きな経済効果を生むものであるかどうか、本気で審査する。

そして問題は、そのような「きちんとした」案件は、途上国では非常に少ないということだ。しかも途上国が返済能力を超える借金を背負い込むことがないように(旧社会主義諸国の企業は公的機関からの融資を予算と同じに考え、返済しないことが多かった。つまり借金は返済しなければならないものだという習慣がない)、IMFや世界銀行が毎年の対外借り入れに枠を課している。

そこを中国が真空掃除機のようにあらゆる案件を吸い込み、融資をつけまくるものだから、日本や欧米諸国は途上国に借款を供与することができなくなる。ODAや輸出信用は、日本の政治的影響力や商権を拡大するという目的も持っているので、これを出せなくなるのは日本にとって痛手なのである。