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「中国に乗っかり日本も儲ける」官邸の目論見は絵に描いた餅だ

安倍・習の急接近でも、現実味なし

10月末、安倍総理は懸案の北京訪問をすることになっている。その成果の一つとして準備されているのは、「第三国での日中経済協力」。つまり、これまで冷ややかな目で見てきた習近平の一帯一路、あるいはアジア・インフラ投資銀行AIIBへの帰順を表明、中国の歓心を買うとともに、日本の資金も出して日本企業に大いに受注させようという魂胆だ。

これは政治的にはいいことだ。日中関係が欠落したままでは、日本外交は片肺飛行になって苦しいからだ。

他方、この「第三国での日中経済協力」で実際のプロジェクトが実現するのは難しいだろう。と言うのは、これは官主導、独りよがりの机上の計算だけで動いているから、実現しにくいのだ。

一つの例が2015年10月、安倍総理のトルクメニスタン等歴訪の際に見られた。

この時総理は30社以上の日本の企業関係者を引き連れて、トルクメニスタンだけで総額180億ドル規模の事業に日本が協力すると喧伝されたが、この国は当時からカネ詰まり。日本企業は政府に煽られ、話し合いを始めたものの、ほとんど成約に至っていない。

「第三国での日中経済協力」も、同じ運命。企業にとっては、散々引き回されたあげく、最後には政治資金奉加帳を回されておしまい、ということになりかねない。

 

「一帯一路」はシルクロードの蜃気楼

習近平・中国国家主席は2013年3月就任以降、活発な外交を繰り広げ、中央アジア諸国では「シルクロード経済ベルト」、東南アジア・インド洋諸国では「21世紀海洋シルクロード」構想をぶち上げ、これは合わせて「一帯一路」と略称されるようになった。

中国の零細商人達はそれまでも、長大なシベリア鉄道でモスクワや東欧諸国と往来しては、消費財を商っていた。

また北京、上海、深圳、浙江省の義烏などには、ロシア、インド、中央アジアなどからのバイヤーが屯(たむろ)して、消費財、電化製品を買いあさっていたから、中国政府も広いユーラシアに目を向け、ここがもう飽和気味の米欧に代わる有望な市場と思い込んだのだろうか。

しかし「一帯一路」は今に至るも、単一の「司令塔」を持っていない。一本化され、整合性、具体性のある構想になっていない。

日本では、かつてODAが予算の聖域扱いで、各省庁は何でもかんでも「ODA」の冠をつけて予算を取ろうとしたものだが、一帯一路も中国で予算獲得のための錦の御旗として使われているのだろう。そして中国の建設企業、建築資材企業にとっては、政府系銀行の融資の扉を開ける呪文のようなものなのだろう。

財務部はアジア・インフラ投資銀行、中国人民銀行(中央銀行)はユーラシア基金を設立し、自分のOBの天下り先とした。こうやって東南アジア、インド洋、中央アジア、いやユーラシア全土を一帯一路の点と線どころか、紅色一色の面にする勢いと相成った。