独占告白 ノーベル賞Dr.本庶は、我らの「センセイ」でもあった

オプジーボ開発を支えた米国博士の証言
大野 和基

しかし、免疫療法薬「ヤーボイ」(本庶氏とノーベル賞を共同受賞したジェームズ・アリソン氏が開発)が注目され、ニボルマブの治験データが蓄積されはじめると、BMSがニボルマブも非常に効果がありそうだと目をつけたのです。

ジェームズ・アリソン氏と本庶佑氏ノーベル賞の発表においてスクリーンに映し出されたジェームズ・アリソン氏(左)と本庶佑氏 Photo by Fredrik Sandberg / TT via AP

BMSは免疫治療の分野ではすでに飛び抜けた存在でした。彼らはDr.本庶の提案を受け入れ、すぐに共同研究が始まり、2008年にメダレックスはBMSに買収される形となりました。

メダレックス買収前、BMSのがん治療薬は「抗がん剤」が中心でした。しかし、Dr.本庶と出会って、ほとんどを免疫系に転換しました。

つまりDr.本庶が会社の方向性を変えてしまった。これは驚くべきことでした。

私は通算で12年、Dr.本庶と共に治験をしており、今も続けています。彼は治験の際も、他の薬との組み合わせについてもたくさんのアイデアを持っていて、本当に助かっています。

しかも、彼の教養は免疫学だけでない。生化学やメタボリズムなど、他の分野にも深い知識が持っていて、開発を進めるために様々なアドバイスを与えてくれます。チームのみんなも信頼していて、彼の知恵にはいつも敬服していました。

私たちにとってDr.本庶は、まさに「センセイ」なのですよ。

 

ユーモアのセンスも抜群

加えて、がん患者のことをいつも気にしています。私たちの会社も常にがん患者の助けになりたいという情熱を持っていて、哲学も一致していたのは大きかった。

そうそう、彼のユーモアのセンスも忘れてはいけません。「センセイ」としてだけではなく、すばらしい同僚でもあります。

私と出会う前、Dr.本庶が複数の日本の製薬会社から共同研究を断られていたことは知っています。日本には、他にも才能のある科学者がたくさんいるはず。

彼らを育てるかどうかは、「上の意思」ですが、その判断こそが未来の科学界にとっては重要です。機会を与えなければ、何も始まりませんから。

次のDr.本庶となるような優秀な若い科学者たちが、そういった機会を得られることを望んでいます。