2018.10.12
# 自衛隊

友人と酒を飲むのもNG…自衛隊の秘密情報部隊「別班」をご存じか

帝国陸軍から引き継がれた負の遺伝子
石井 暁 プロフィール

「痴漢にでっち上げられないよう注意しろ」

近年、元別班員たちの著作や証言により、別班の実体が徐々に明らかになってきていたが、その内容は1970年代までの情報にとどまるため、はたして別班がいまも存在し、海外で情報活動を展開しているのか、謎が残されたままだった。

しかし、私が勤務する共同通信の一連の取材では、陸上幕僚長、情報本部長という極めて責任が重いポストの経験者の証言によって、首相、防衛相にも知らせず、別班が現在も身分を偽装した自衛官に海外で情報収集活動をさせている事実が明らかになった。文民統制を完全に逸脱しているのだ。

 

『自衛隊の闇組織――秘密情報部隊「別班」の正体』執筆のきっかけとなった、共同通信の配信記事が新聞各紙に掲載された数日後、会った旧知の陸上自衛隊の将官からは、こんな忠告を受けた。

「隊内の反響が、凄まじいことになっている」「最低限、尾行や盗聴は覚悟しておけ」「ホームで電車を待つ時は、最前列で待つな」

また、配信記事を機に知遇を得た、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏はこうアドバイスしてくれた。

「自衛隊は嫌がらせをするつもりだ。いつ何をされるかわからない。特に痴漢にでっち上げられることに注意しろ。酔っぱらって電車に乗るな」

長年、社会部で防衛庁、防衛省を取材してきたが、経験したことのない、「国家」と〝軍隊〟の恐ろしさを感じた瞬間だった。

自衛隊がそれほどまでに知られたくない「別班」は、帝国陸軍の〝負の遺伝子〟を受け継いだ〝現代の特務機関〟であり、災害派遣に象徴される自衛隊の〝陽〟の部分とは正反対の〝陰〟の部分といえる。

憲法第9条をめぐる本格的な改憲論争が始まろうとしているいま、自衛隊について考える材料の一つとしていただけることを願う。

(いしい・ぎょう 共同通信社編集局編集委員/「本」11月号より・一部改変)

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