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# 定年 # 働き方 # 年金

「70歳定年」だと…?いつまでも働かなければならない社会への危惧

困難な安倍内閣「最大のチャレンジ」

狙いはやはり「社会保障費の抑制」

自民党総裁3期目に入った安倍晋三首相は、内閣の「最大のチャレンジ」として「全世代型社会保障への改革」を打ち出した。これまでは「働き方改革」を最大のチャレンジとして掲げてきたが、通常国会で働き方改革関連法が成立したことから、次にステップを進める、ということなのだろう。

10月5日に首相官邸で開いた「未来投資会議」(議長・安倍首相)で打ち出したもので、今後、未来投資会議で集中的に議論を進める、としている。

今後目指すという「全世代型社会保障」とは何なのだろうか。未来投資会議で安倍首相はこう述べた。

「生涯現役社会の実現に向けて、意欲ある高齢者の皆さんに働く場を準備するため、65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討を開始します。この際、個人の実情に応じた多様な就業機会の提供に留意します」

 

さらに、こうも述べている。

「健康・医療の分野では、まず、人生100年健康年齢に向けて、寿命と健康寿命の差をできるだけ縮めるため、糖尿病・高齢者虚弱・認知症の予防に取り組み、自治体などの保険者へのインセンティブ措置を強化します」

高齢者にいつまでも元気で働いてもらう、というわけだ。もちろん高齢者が活躍の場を得て、生き生きと働くのは悪いことではない。だが、それがなぜ、「社会保障改革」になるのか。

狙いは増え続ける社会保障費を抑制することにあるのは明らかだ。いくら寿命が延びても病気になって病院のベッドで生きながらえるとなると、膨大な医療費がかかる。

すでに日本の年間の医療費総額は42兆円を突破。中でも「75歳以上」の高齢者の医療費の伸びが大きく、医療費増に拍車をかけている。2017年度では75歳以上のひとり当たり医療費は年間94万2000円で、75歳未満の22万1000円を大きく上回っている。15歳以上65歳未満の現役世代が使っている医療費は全体の3分の1だ。

ところが、今の制度では現役世代は給与に応じた健康保険料に加えて、受診時には3割を自己負担している。一方で、75歳以上の「後期高齢者」は現役並みの所得がある人を除いて1割負担になる。その分、健康保険組合や国の財政を圧迫しているわけだ。

しかも、2022年には団塊の世代が75歳以上に加わり始める。このままでは、医療費の総額が増える一方で、現役世代へのしわ寄せが一段と強まることになる。

できるだけ健康で長生きしてもらえば、その分、医療費の増加は抑えられる、と言うわけだ。医療費を抑えた自治体などにインセンティブを与えるというのも、野放図な増加に何とか歯止めをかけたいという苦肉の策である。

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