海上自衛隊が画策する「空母保有計画」その全貌がついに判明

日米中のバランスが大きく変わる可能性
半田 滋 プロフィール

現在、海上自衛隊は「かが」など護衛艦3隻をインド太平洋に派遣して、インドなどを親善訪問している。その途中、潜水艦「くろしお」と合流し、初めて南シナ海で対潜水艦戦訓練を行った。

中国が内海化を図る南シナ海に海上自衛隊の潜水艦が潜む可能性を示しただけでも十分、中国政府を刺激した。将来、空母に改修された「いずも」や「かが」が南シナ海に現れたとすれば、どうだろうか。

中国に対抗して、艦艇を差し向け、「航行の自由作戦」を展開する米国は大いに歓迎することだろう。その一方で、南シナ海の緊張を高める懸念材料になるのは間違いない。

昨年6月、南シナ海で行われた日米豪加共同巡航訓練。中央が「いずも」(海上自衛隊公式サイトより)

「攻撃的兵器」はわが国にふさわしいか

とはいえ、安倍首相が旗振り役を務める「積極的平和主義」は自衛隊の軍事力の積極活用を意味し、自民党国防部会も今年5月、「多用途運用母艦」という名称の空母の保有を提言した。

来年度、改定される「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」に「空母保有」ととれる表現が書き込まれるのは確実だろう。

問題は憲法との整合性である。憲法9条に基づく「専守防衛」のもと、政府は「性能上もっぱら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみに用いられる攻撃的兵器」の保有を禁じてきた。

 

空母保有をめぐる議論は古くから国会で続いていたが、瓦力防衛庁長官が「攻撃型空母を保有することは許されない」(1988年3月11日参院予算委)と明言する一方、「憲法上保有しうる空母はある」(88年4月12日衆院決算委)とも述べ、このとき「防御型空母を保有できる」とする政府見解が示された。

その例として政府は、対潜ヘリコプターを積んだ対潜空母を示し、シーレーン(海上航路)防衛を念頭に置いた答弁を繰り返した。これに対し、野党側は「攻撃型空母と防御型空母をどこで区別するのか」と追及したが、政府は一貫して空母の保有計画について否定し続け、論争が下火になったいきさつがある。

その後30年が経ち、海上自衛隊の「願望」に近い空母保有計画は、安倍政権の軍事力強化の政策と共鳴し、現実のものとなりつつある。

日本防衛の視点、対米協調のあり方からの検討が欠かせないものの、空母という「攻撃的兵器の保有」が平和国家・日本に相応しいのか否かがもっとも重要な論点ではないだろうか。