海上自衛隊が画策する「空母保有計画」その全貌がついに判明

日米中のバランスが大きく変わる可能性
半田 滋 プロフィール

「日米共同運用」も可能になる?

海上自衛隊が注目するのは、米海軍の強襲揚陸艦「ワスプ」の新たな運用方法だ。「ワスプ」は今年1月、米海軍佐世保基地に配備された。沖縄の米海兵隊の遠征部隊「第31海兵遠征隊」を輸送する役割があり、その際、F35B、オスプレイなどを搭載する。

米海軍は、空母、巡洋艦、駆逐艦などを組み合わせて編制する重厚長大な空母打撃群は「小規模作戦に対応するにはコストがかかり過ぎる」として、強襲揚陸艦を空母がわりに使い、駆逐艦に護衛させる遠征打撃群の活用を始めた。

また、英海軍は最新空母「クイーン・エリザベス」に英軍の戦闘機ではなく、米海兵隊のF35Bを搭載する米英共同運用を始めている。

こうした米英両海軍の最近の動向は、海上自衛隊の空母保有計画に確信を与えている。「いずも」と「ワスプ」は全長、全幅ともほぼ同サイズ。そして在日米海兵隊はF35Bを岩国基地に配備している。

 

海上自衛隊としては (1)自衛隊がF35Bを調達して「いずも」に搭載する、(2)必要に応じて米海兵隊のF35Bを「いずも」に搭載する、といった「自衛隊単独」「日米共同運用」という二種類の使い方を選択できる。

対潜水艦戦に活用する場合は、これまで通り、SH60を搭載する。任務によってはF35B、SH60、オスプレイを混載することも可能だ。

一方、航空自衛隊は米空軍と同じタイプのF35Aを42機導入するものの、今のところ、F35Bを採用する計画はない。自衛隊が空母艦載機部隊を持つとすれば、(1)航空自衛隊がF35Bを導入して「いずも」にパイロットごと送り込む、(2)海上自衛隊がF35Bを調達して初めて戦闘機パイロットを養成する、のどちらかとなり、今後の検討課題だろう。

米海軍のF35B(Photo by gettyimages)

目的は「離島防衛」だけではない

ところでなぜ、今、空母が必要なのか。

最大の理由は、中国の軍事力強化に対抗して沖縄の離島防衛を強化するためである。

安倍晋三政権下の2015年4月、「日米防衛協力のため指針」(ガイドライン)が改定され、地球規模での日米連携を約束する一方で、1997年改定の前ガイドラインと比べ、日本防衛をめぐる米軍の関与は大幅に後退した。

ガイドラインには、米軍は「自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する」とあり、「支援と補完」程度の関わりにとどまることになった。

日本政府が米政府にガイドライン改定を持ちかけた狙いは、自衛隊を米国の世界戦略に積極的に差し出すことにより、尖閣諸島をめぐる中国との対立に米国を日本側に引き込むことにあった。しかし、その思惑は外れ、「見返りなき日米同盟の強化」だけが進み、自前で離島防衛を強化するほかなくなったのである。

離島防衛を想定するならば、あえて空母を保有しなくても既存の航空自衛隊基地や民間空港を出撃基地として活用すればよいので、現状でも十分ということになる。むしろ潜水艦や航空機の餌食になりかねない空母は、護衛が必要となるため、自衛隊の戦力が分散されるマイナスもある。

だが、空母保有の狙いは離島防衛だけではない。海上自衛隊には、米海軍との結びつきをさらに強める材料とする思惑がある。