『タイキョの瞬間!』で炎上のフジテレビが迎えている「ある局面」

「入管のプロパガンダ番組」と揶揄され
プチ 鹿島 プロフィール

逃げないでほしい

フジテレビが大人を対象にした番組作りをするのも、「おっさんのフジテレビ」を目指すのも、私は支持したい。テレビ局のキャラ転換を目撃するのはテレビ好きからすればご褒美であるからだ。

しかし数字ありきで特定の層だけが喜ぶ排外的な内容になってしまうのはダメだ。

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だから私はここで提案をしたいのである。フジテレビには良質の番組がまだたくさんある。たとえば日曜昼の『ザ・ノンフィクション』。あの番組は時代の少数派にじっと寄り添った回が多い。

それなら今回の『タイキョの瞬間!密着24時 〜出て行ってもらいます!〜』へのアンサーとして、不法滞在して(しまって)いる外国人はあの番組をどう見たか?というお題で『ザ・ノンフィクション』で検証してほしいのだ。新潮社みたいに逃げずに。

そこからひろげて「技能実習制度」の欺瞞を深くえぐったら、なおいい。

「外国人技能実習制度」は日本で技術を学んで母国に持ち帰ってもらおう、という趣旨だ。現在は日本への在留期間は最長5年だが、政府は10年間に延長を考えている。さらに5年働いてよいという内容だ。

ただし、日本語能力はあまりいらない。母国の家族は連れてきてはいけない。

つまり、安い労働力だけをいただきたいという意味にとれる。

 

日本で働く外国人がどうしたら日本社会にうまく入っていくか? 働くだけでなく、日々の暮らしをやっていけるか。日本人の側も異なる文化を持っている人たちと、職場で、住居でどうやって付き合っていくのか。それを考えるのが先決ではないか?

この問題を調べている人たちに聞くとそう言う。

でも現実は安い労働力を利用しながら、それ以上は考えない。こんな矛盾はない。

《そもそも政府やメディアは外国人労働者という表記にしているが、移民という言葉を政府も経済界も巧妙に避けてきたのではないか。移民という言葉の衝撃を和らげようと外国人労働者としてきたものの、移民労働力問題はそれではすまなくなっている瀬戸際だということではないのか。》(「もはや日本は移民大国 議論後回しのツケは」日刊スポーツ10月10日)

大人の鑑賞に耐えうる番組作りを

最後にこの記事を紹介しよう。読売新聞のコラムである。

『幻の「外国人共生部」』(9月27日)

読んでみるととても興味深かった。

《2019年度予算の概算要求を巡る折衝の中で、幻となった案件がある。19年4月の運用開始を目指す外国人労働者受け入れ拡大に向けた「外国人共生部」という部署の新設である。》

え、そんな案があったのか……。

《受け入れ環境の整備にあたって、司令塔的な役割が求められる法務省は、現行の入国管理局を「庁」に格上げして「入国在留管理庁(仮称)」とし、「外国人共生部」と「入国在留管理部」の2本柱で運用する青写真を描いた。外国人を「管理」する発想だけでなく、外国人との「共生」に力点を置くことが、これからの日本社会の活力を維持するカギと見たためだ。》

おお、これこそ今まさに求められる対応ではないか。法務省はちゃんと考えていた。

しかし……。

《法務省案に対して首相官邸は「日本は移民政策はとらないとの立場を明確にすべきだ」と難色を示した。でなければ、「治安の悪化や、日本人の雇用が脅かされるのではないかとの不安に応えられない」(政府関係者)と考えたのだ。官邸と法務省の綱引きの結果、当初案の2本柱は、「出入国管理部」と「在留管理支援部」に修正された。》

ああ、そういう暗闘があったのか。

記事は、管理ばかりに目を向ければ諸外国から「日本は働きにくい国」との印象をもたれる懸念もあると続いた。

そうなのだ。外国人に冷たい仕打ちをしていたら今後は日本に働き手が集まらない恐れもあるのだ。それでいいの?

フジテレビはこのあたりの内情を調べて番組化してほしいです。それこそ大人が見るテレビ番組だと思うのです。本気で期待してます。

*プチ鹿島さんの過去記事はこちら https://gendai.ismedia.jp/list/author/puchikashima