イラスト:野波ツナ

「カサンドラ症候群」の人がぶつかる"障害受容"という大きな壁

「カサンドラ症候群」自覚と回復の道⑦

「アスペルガー症候群」のパートナーを持つ人が抱える問題、「カサンドラ症候群」について、今、注目が集まっています。社会全体がよりインクルーシブな方向へシフトしようとしている中、カサンドラやアスペルガーを取り巻く状況にも様々な変化が。『旦那(アキラ)さんはアスペルガー、奥(ツナ)さんはカサンドラ』(株式会社コスミック出版)の著者、野波ツナさんと、カサンドラを支援する『アスペルガー・アラウンド』を主宰するSORAさんのお二人に話を伺います――。

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カサンドラの解決のゴールは?

SORA ツナさんはカサンドラの解決はどこにあると思われますか。

野波 私は自分の心が楽になったときが解決だと思っています。だから関係性が必ずしも改善しなくても解決はあると思う。夫との関係性が改善しなくても自分が楽になれば、それはカサンドラの解決なんだと思っています。だから夫のことよりも自分のことと優先順位をつけて、それで自分が改善すれば夫との関係もおのずとついてくるんじゃないかなと思いました。

SORA 実際ツナさんは、例えばご主人に対して気持ちが変わっていったりしたんでしょうか?

野波 私は結局別居しましたが、別居したからといってカサンドラが良くなるわけじゃなかったんですね。別居で関係性が改善した部分もありましたが、私の中でまだ楽になってない部分も残っていて、カサンドラは終わってなかったわけです。

それに気付いてからはセルフカウンセリングをしてみたり、自分の考えをさらに掘り下げるようにしたりして、徐々に私カサンドラからほぼ抜けたな、って思えるようになったんです。

そしたら段々アキラさんとの嫌なことをあまり思い出さなくなりました。そうすると非常に楽な気持ちで「久しぶり、元気?」って言えるようになって。何か持ってきてくれると「ありがとう」と。アスペルガーさんたちは相手が喜べば自分が喜ぶタイプの素直な人が多いので、結果、関係が良くなりつつあるんじゃないかなと思うんですね。

ただ私たちの場合は、一緒に暮らすのが正解かっていうとまだ分からないので、今のままでいいんですけど。険悪な部分はなくなったと私は感じています。

 

SORA ツナさんが一番望んでいたことは、壊れてしまった関係が回復して険悪じゃなくなることだったんですね。

野波 最初にそれを目標とはしなかったんですけど、それは無理だと思ってたから。

SORA 私は特別支援学校での勤務経験があり障害受容というものを知っていました。それが他のカサンドラさんとは大きく違うところだと思います。

ご自身が中途疾患や事故で障害をおったり、または家族が障害者になった時、障害受容という大きな壁にぶつかります。障害児学校の勤務経験から、障害を持つことが不便があっても、不幸ではないことを知っていました。

だから、子どもに障害がありそうだと気付いたときも、だったら、多分、夫も同じ障害だろうと考え及んだときも、落ち込むことも、抵抗する気持ちも全くなかったんです。障害がある方が生きていく世界観を知っていたから、不安がなかったんですね。