日本人がほとんど知らない「世界大学ランキング」の問題点

そもそもどう順位付けしているの?
畠山 勝太 プロフィール

世界大学ランキングで評価されている指標

では、実際に世界大学ランキングで考慮されている指標と、その説明を見ていこう。

世界大学ランキングでは5つの項目が評価されている。

100点満点と考えたときに、その大学の教育の質は30点を占める。

教育の質30点の半分に当たる15点分が、タイムズ紙による評判調査の結果から来ている。残りの15点は、職員生徒比率が4.5点、博士号授与数―学士号授与数比率が2.25点、博士号授与数―学術関連の職員比率が6点、大学の収入が2.25点となっている。

3番目の項目がやや解釈しづらいかもしれないが、これは次世代の研究者の育成にどれだけコミットしているかを示す指標となっている。

次にその大学の研究の質であるが、これも教育同様に30点を占めている。

この項目の過半数を超える18点がタイムズ紙による評判調査の結果に割り当てられている。そして残りの12点を研究による収入と研究の生産性が分け合っている。

研究の生産性は分野や大学の規模による違いを調整したうえで、研究者一人当たりどれだけ論文を出しているのかが評価されている。

教育・研究と同じく30点を占めているのが、論文の被引用数である。

特に説明はいらないと考えられるが、分野ごとに引用される論文の数が異なるため、世界大学ランキングではこの差異を考慮し、引用されやすい分野を持つ大学が過剰に高評価を受けないように調整をかけている。

〔PHOTO〕gettyimages

次の項目は国際化志向である。

この項目は3つの指標から成り立っており、7.5点を有している。3つの指標はそれぞれ留学生比率・外国人スタッフの割合・論文において他国の研究機関に所属する研究者が共著に入っている割合であり、同じ評価(2.5点)を受け取っている。

最後の項目は産学連携であり、2.5点を持っている。

大学の重要な役目に、知識を産業界に広めるという点がある。これを評価するために、世界大学ランキングは大学が有する研究費の内、どれだけが産業界から来ているのかを評価している。

すべての指標において、各大学を順位付けするために、標準化という統計的な手法が取られているが、これはさほど重要ではないので、本稿ではその解説を割愛する。

 

複合指標に基づく国際ランキングの問題点

私も世界銀行で働いていたときに、世界大学ランキングのような複合指標に基づく国際ランキングの作成に従事していたことがあった。

それは「Country Policy and Institutional Assessment(CPIA)」というもので、教育やジェンダーなど様々な分野別に、ある途上国のその分野での立ち位置を分析することで、資金を貸し出したときに有効に使われるか否かを判断する材料となるものであった。

そこでの経験に基づき複合指標に基づく国際ランキングを作成する問題点と、世界大学ランキングの問題点を指摘したい。