イラスト:野波ツナ

家庭内ばかりか職場の人間関係発の「カサンドラ」が増加中

「カサンドラ症候群」自覚と回復の道⑥

「アスペルガー症候群」のパートナーを持つ人が抱える問題、「カサンドラ症候群」について、今、注目が集まっています。社会全体がよりインクルーシブな方向へシフトしようとしている中、カサンドラやアスペルガーを取り巻く状況にも様々な変化が。『旦那(アキラ)さんはアスペルガー、奥(ツナ)さんはカサンドラ』(株式会社コスミック出版)の著者、野波ツナさんと、カサンドラを支援する『アスペルガー・アラウンド』を主宰するSORAさんのお二人に話を伺います――。

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職場で起こるカサンドラ

SORA: 職場でも家庭と同じだと思うのは、周囲の人には問題の深刻さが伝わらないということ。その人とペアで仕事をしたような、親密な関わりを持った相手だけがカサンドラになる。

私のところに相談に来た人のケースですが、上司の方も分かってるんですよ、「彼女とペアを組むのは大変だろう」って。だから「じゃあとりあえず、机の配置を変えて、距離を置きましょうか」と提案しても、「いや、そこまでしなくても」と言われちゃう。

大変さが分かっていても、関わってる人のカサンドラ度というか、深刻さが理解されないことが独特だなと思いますね。

野波: どの職場でもペアを組むことって割とありますよね。そうすると、その関係性の中だけで苦しむ人が出てくると?

 

SORA: 例えば職場Aのケース。「〜の準備を明日一緒にやらない?」って誘っても「いや、俺がやっておくから」と返されちゃうとき。私なら特性がわかっているので「やってもらっちゃおう」と割り切って「ラッキー、楽ちん!」と、思えるけど、相手の特性を知らなければ同じ仕事に携わってるのに、同じ作業を共有してもらえないと感じてしまって切ないですよね。

野波: そういうふうに「やっとくよ、いいよいいよ」って言われたら、私は無能だと思われてるのかしらとか、邪魔なのかしらとか、嫌われてるのかしらとか思っちゃいますよね。

SORA: ツナさんと同じような受け止め方をした方がいらっしゃいました。医療関係者の方だったのですが「私の仕事までやられちゃう」と。「やってもらったらいいじゃない」と言ったら、「馬鹿にされてるみたいで嫌だし、職場からの評価だって下がっちゃうじゃないですか」って。なるほど、そういう困りごともあるんだなと思いましたね。

――人の仕事までやってしまうというのもよくあるケースなのでしょうか?

SORA: ご本人は自分のペースで仕事しているだけなんですよね。相手に嫌な思いをさせたいわけじゃなく、自分は自分で仕事をしたいからしてるっていう。

野波: 自分のペースでするのがミソですよね。だから分担とか、報告し合うってことにはならない。

SORA: アスペルガーさんは共にやる喜びとか、チームとした動く共有感というのをそもそも持ちにくい。だから周りが「この人は自分のペースでやりたい」と分かっていればトラブルにはなりにくいけれど、「一緒にやろう」が前提だと気持ちが共有できずにしんどくなってしまいますよね。