「アスペルガー」の周りの人は全員「カサンドラ」になる可能性アリ

「カサンドラ症候群」自覚と回復の道⑤
野波 ツナ, SORA プロフィール

地方には、情報も場所も足りてない

SORA だから今、地方は大変!

野波 情報が行ってないなと思いますね。

SORA 去年、京都に呼ばれて行ったんですけど、定員30人ぐらいの部屋に80人も集まってくださって。泣きだす方、怒ってる方から、もちろん前向な方までいろいろで、まさに東京で自助会をはじめた5年前と同じような状態。どこに合わせて話をすればいいのか悩ましかったです。

野波 私も長野に行ったときに、「まだこの段階にいるの!?」という人にたくさんお会いしました。東京だったら自助会もあるし、お医者さんもいるし、メンタルクリニックもあるけど、もう、そういうのが絶対的に少ないんでしょうかね。本当に基本的なことを話すだけですごく感心してくださる。

 

SORA これまでカサンドラ周知のために地道に活動してきた自助会がありましたが、私の活動を含めそれら個人の力だけではこの10年かけても十分には広まりませんでしたね。今、大人の発達障害をマスコミが取り上げてくれるのは、法律が変わったからで……。

野波 結局、上が変わるしかないんだなって?

SORA 結局一人一人が頑張るより法制定される方が早い、ということは実感しました。今回の法定制は活動の後押しとして重要で、私は教員として特別支援コーディネーターとしてやってきましたが、公私ともに一気に動きやすくなりました。

――法律が変わったのは、小さい声がまとまって上に届いたからではないですか?

SORA いえいえ、国際条約である「障害者の権利に関する条約」が日本でも締結されからです。おかげで公的機関などで合理的配慮に関する理解や準備が急速に進んだという。

――やっぱお上ですか!

SORA もちろん法制定以前に、野波さんのご本が多くの方に読まれていたことはカサンドラ周知の大きな力になっていると思います。

野波 とはいえやっぱり、今、発達障害当事者にやっと目が向き始めたところで、その当事者を支える家族にはまだまだケアが足りませんね。何ならお上にもっと頑張ってもらって「家族のケアもぜひ!」という気持ちです。当事者が大変なのはもう重々承知ですが、実はカサンドラも同じかそれ以上に大変なのかもしれないと思うので。

*『カサンドラ症候群』はDSM-5(アメリカ精神医学学会が定める診断基準で国際的に広く用いられている)に記載されておらず、正式な病名ではありません。また『アスペルガー症候群』も『自閉症スペクトラム障害』という診断名に統合されていますが、現在のところ、日本の医療現場や社会では広く使われているので『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』シリーズ及びこのインタビューではそのまま表記しています。

〈取材・構成/松本愛 次回に続く〉

SORA  アスペルガー・アラウンド代表。2001・2003年に長男と夫がアスペルガー症候群の診断を受ける。13年間の特別支援学校の勤務経験、自身のアダルトチルドレン克服の体験を活かし、2013年にカサンドラを支援する非営利団体を発足。共感の場「しゃべりば」の普及に努める。関わる立場から発達障害を理解する講座「カサンドラのためのASD勉強会」講師。「カサンドラ脱出プログラム」企画・運営。