イラスト:野波ツナ

「アスペルガー」の周りの人は全員「カサンドラ」になる可能性アリ

「カサンドラ症候群」自覚と回復の道⑤

「アスペルガー症候群」のパートナーを持つ人が抱える問題、「カサンドラ症候群」について、今、注目が集まっています。社会全体がよりインクルーシブな方向へシフトしようとしている中、カサンドラやアスペルガーを取り巻く状況にも様々な変化が。『旦那(アキラ)さんはアスペルガー、奥(ツナ)さんはカサンドラ』(株式会社コスミック出版)の著者、野波ツナさんと、カサンドラを支援する『アスペルガー・アラウンド』を主宰するSORAさんのお二人に話を伺います――。

妻がアスペルガー、夫がカサンドラ

SORA 私は2013年からカサンドラの自助グループを運営しています。当初に比べると今はカサンドラについて事前に情報を調べてからいらっしゃる方が増えたなと思います。重篤な方が減って、解決にフォーカスするようになってきたというか。

以前は初めて会に来られるときに、部屋に入るか入るまいか、来て良かったのか悪かったのか、ドアのノブを回すのにも勇気を振り絞り、頑張って部屋に入ったらダーっと泣き崩れてしまう、そういう状態の人もいらっしゃったんです。

今ではWEB上にも情報がたくさんあり調べて来られるので、そういう意味ではメンタル的には安定していて、解決法をすぐに知りたいという人が多いです。また男性のカサンドラさんも増えています。

野波 職場ですか?

SORA それがお父さんとの関係に悩む若い男性というケースもあります。先日いらっしゃった方は、職場と奥さんと両方で悩んでいるとおっしゃってましたね。奥さんがアスペルガーの場合、赤ちゃんを育てるのが難しい場合が少なくありません。

 

野波 触覚過敏で、抱っこできないとか?

SORA そうですそうです、あと嗅覚過敏のせいでおむつの匂いがダメとか。いわゆる普通に育児をするのが難しい特性を持ってる人もいますよね。すると父親が主に育児を担当することになるわけですが、社会からの無理解(共感のなさ)に晒されるわけです。

赤ん坊が生まれたときから、ミルクをあげ離乳食を作り、手塩にかけて子育てしてきたというお父さんなのに、子どもが病気になって病院に連れて行ったら、お医者さんに「お父さん、病院に連れてきて偉いね、でもお母さん呼んできてくれる?」と言われちゃうと。「いや、僕が」と言っても「分かった、偉いね、イクメンなんだね、でもお母さん連れてきて」と。

「僕がやってきたことは誰にも認めてもらえない」って、まさにカサンドラですよね。

私はもともと、カサンドラは妻だけのことではないのはもちろん、パートナー間にも限らないという認識で活動を始めてるので、このように、いろんな角度から、多くの人の大変さが認知されるようになればいいなと思います。

野波 そうですね。妻にとらわれず拡大解釈できるようにしていった方がいいと私も思います。妻だけに限定すると、なぜか妻のヒステリーなんじゃないのと思われ、我慢が足りないんじゃないのと言われてしまう。カサンドラには誰でもなり得るのにね。