〔PHOTO〕立木義浩
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“Mr. ル・マン”寺田陽次郎さんを夢中にさせた酒器がある。

タリスカー・ゴールデンアワー第19回(前編)

提供:MHD

寺田陽次郎さんとはじめてお会いした場所は、赤坂にあったわたしが大好きなレストラン「カナユニ」だったと記憶している。それからしばらく時が流れ、最近、人を介して会食をする機会を得た。おたがい70代ということもあり、話は大いに弾んだ。

食事のあと、わたしの自宅兼仕事場であるサロン・ド・シマジ本店にご夫妻でいらっしゃった。ブランデー党の寺田さんにシングルモルトウイスキーの美味しさを知っていただきたく、ご招待したのである。

寺田さんは部屋中に林立する約200本のボトルをみて驚いていた。でも、いちばん目を輝かせたのは、わたしがいちばん大事にしている、タリスカー蒸留所のマーク前所長のサインが入ったタリスカー34年をトワイスアップにしてお出ししたときであった。寺田さんの目は好奇心で輝き、まるで少年のような表情になった。

「シマジさん、このチュルチュルと音を立てている器具はなんですか」
「これはエアレーターと言いまして、ウイスキーと水と空気を立ちどころに混ぜてくれるスグレモノです。ほら、タリスカーのロゴ入りですよ」
「どこで買えるんですか」
「残念ながら、もう生産中止になっていて手に入りません。欲しいですか」
「欲しいです!」
「作曲家の三枝成彰さんもここへ来て同じことを言われました。わたしが使っているものですが、ここに2つあります。よろしかったら1つ差し上げましょう」
「本当ですか! 嬉しいなあ」
「ついでに今年限定発売のラガヴーリン12年リミテッド・エディションもおつけしましょう」
「盆と正月がいっぺんにきたみたいです。ありがとうございます!」
「いえいえ、寺田さんが今夜話された“ル・マン物語”にわたしは感動いたしました。こちらこそ大感謝です」

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

***

ボブ: それでは、みなさんご一緒に、スランジバー!

一同: スランジバー!

寺田: これが噂のタリスカースパイシーハイボールですか。美味しいですね。

ボブ: ありがとうございます。シマジさんのお陰もありまして、いまタリスカーは売れに売れています。

寺田: シマジさんのお宅でシングルモルトはいろいろ飲ませていただきましたが、あの時は水で半々に割ったものでした。でも、食前酒としてならソーダ割りもかなりイケますね。この黒胡椒がとてもいいアクセントになっています。

シマジ: そうでしょう。寺田さん、タリスカースパイシーハイボールは食欲を刺激してくれて、しかも食事の邪魔をしません。わたしの行きつけのレストランには必ずこのセットが置いてありまして、食中酒としても楽しんでいます。和洋中、何にでも合うんですよ。今度またご一緒しましょう。

さて、今日はル・マン24時間レースのお話を披露していただきたいのですが、その前に、お母さまのお話を聞かせてください。

寺田: わかりました。わたしの母は、もう亡くなりましたが、大正15年生まれで、兵庫県下で大型第二種免許を最初に取得した女性ドライバーでした。大型第二種ですよ。いまぼくが取ろうと思ってもなかなか取れないでしょう。

ボブ: 大型第二種というのはどこまで運転出来るんですか。

寺田: バスの運転手になれます。

シマジ: それは凄いですね。いまでこそバスもタクシーも女性の運転手さんをちらほら見かけますが、当時は完全に男の世界だったでしょうに。

寺田: ただ、母は大型二種免許を取りたくて取ったわけではなく、当時、免許制度が改正されたタイミングで自動的に格上げされたそうなんです。

立木: それはお母さまがずいぶん若いときに免許を取られた証拠だよね。

寺田: さすがは立木先生。そういうことです。シマジさんは何歳で運転免許を取られましたか。

シマジ: わたしは、たしか19歳でしたか。

寺田: そのころは自動二輪の免許が付いてきたでしょう。

シマジ: そうだったような気がします。

立木: シマジは自動二輪なんて乗ったことがあるのか。

シマジ: オートバイには乗ったことも乗せられたこともありません。第一、75歳になったときに免許証は返納してしまいました。それまでは、ゴルフに行くときだけ仕方なく乗っていたんですが、自分で運転するのはあまり好きじゃなかったんですよ。

立木: お前は若い頃からハイヤーばかり乗っていたから、車は後ろに乗るものっていう感覚なんじゃないの。

シマジ: そうかもしれません。

ヒノ: 今日のシマジさんは正直ですね。ところで寺田さんがはじめてハンドルを握ってクルマを運転されたのはいつごろだったんですか。

寺田: 母に聞いたところによれば、ぼくがはじめて運転したのは、小学3年生のころだったそうです。

ボブ: 小学3年生!? ハンドルはともかくアクセルやブレーキに足が届いたんですか?

寺田: もちろん、普通に座ったら届きません。ですから座布団をシートのところに挟んで、立って運転したんですよ。

ヒノ: いったいどこで運転されたんですか。まさか公道じゃないですよね?

寺田: もちろん家の敷地内の話ですが、自分一人で運転していたらしいです。

シマジ: お母さまの遺伝子をもろに受け継いたんですね。

寺田: これも母から聞いた話なんですが、ぼくが赤ん坊のとき、よく派手に泣いたそうですが、抱きながら大通りに出てクルマが走っているのをみせるとすぐに泣きやんだそうです。

ヒノ: 生来のクルマ好きなんですね。きっとお母さんのおなかの中にいたときからエンジン音を聞いていたからですよ。そんな寺田さんが運転免許を取ったのはいつごろだったんですか?

海が育んだシングルモルト スコッチウイスキー
タリスカー 10年(TALISKER 10 YEARS)

スカイ島が誇る、金色の蒸留酒。ピートと海潮の力強い香りとスモーキーな甘さを持ち合わせた、まさに男性的なモルトです。爆発的かつ複雑な香味の特徴が人々を惹きつけてやみません。