ブレグジッドは大正解 英国よ沈みゆくEUからいち早く脱出せよ!

移民拒否だけではないその経済的合理性
大原 浩 プロフィール

EU離脱は英国にとってプラス

むしろ、EUを離脱することによるプラス要因も大きい。

1)英国は自由に貿易協定を結べる。
英国がEUから離脱すれば、EUの意向など全く関係なく独自に各国とFTAなどの貿易協定を結ぶことができる。英国はFTAの相手国として十分魅力的であり、引く手あまたであろう。さらに、TPPへの参加も取りざたされている。

2)EUの煩雑な規制から解放される。
離脱の影響がまったくないとは言えないが、逆にEUのくだらない、意味のない、金融規制の束縛から逃れることができるのは大きい。金融市場というのは、シンガポールのように「自由度」が高くなければ発展せず、規制でがんじがらめのフランスのパリのような都市では発展する可能性はない。

また、シティなどで、世界をリードしている、金融サービスは、無形であるが故に関税がかからない。

3)英連邦は巨大な組織である。
英連邦は54の独立国(英国王を自国の王とする16の国々と38の共和国など)で構成される。人口は20億以上、世界貿易の20%のシェア(推定)を持つ。

もちろん、関税同盟などの具体的協定があるわけでは無いが、それらの協定の基礎にはなりうる。

経済活動も、その基礎となるのは「人と人」とのつながりであるから、英連邦という文化的・社会的・歴史的共通項を持つネットワークは大いに活用できるはずである。

 

英国は常に合理的判断をしてきたじゃないか

そもそも欧州統合は、2回の世界大戦で悲惨な状況を味わった国々が「不戦」を目指して模索された。だから、欧州統合に経済的・社会的合理性があるのかなどということは、あまり考慮されなかったのだ。

欧州の統合論議が活発であったのは冷戦時代であり、欧州が統合して巨大な共産主義(つまり「ファシズム」)国家・ソ連邦に立ち向かうというのもそれなりに合理性があった。しかし、今やスペインやイタリアでは、むしろ分離独立運動が盛んであり、世の中の趨勢が「分散化」に向かっているのは明らかである。

例えば、何世紀もの間多くの都市国家や王国の寄せ集めであったイタリアが1860年代に国土を統一し、政治・通貨・財政が一つになった、しかし、それ以来、現在に至るまで両シチリア王国に対応する南部の地域では経済不振が続いている。少なくともイタリア南部の指導者は、統一は間違いであったと考え始めている。

米国のイタリアン・マフィアが強い力を持ったのも、南部イタリアから多数の貧しいイタリア人が米国に移住したからである。

確かに、第1次世界大戦で間接的な被害も含め6000万人、第2次世界大戦で8000万人といわれる犠牲者を出した戦場となった、欧州の人々の平和への願いは大いに理解できる。

しかし、経済というのは「お花畑」的理想論では成り立たない。英国は欧州全体が理想主義、全体主義に傾く中で、あくまで合理的な判断を貫き実行してきた。

今回のEU離脱も、後世の歴史家から「賢明な行為」であったとほめたたえられるであろう。もっとも、最初からEUに加盟しなかった方がはるかに賢明だったのだが……。

(主要参考文献:ロジャー・ブートル『欧州解体 ドイツ一極支配の恐怖』東洋経済新報社)