日本の「潜在投資家2000万人」を動かすための、ある試み

FOLIO・甲斐社長インタビュー
QREATOR AGENT プロフィール

中国アリババを見て動き出した日本の大手企業たち

昨今、異業種からの金融事業参入が後を絶ちません。特に成功事例として注目を集めたのが中国のアント・フィナンシャル社の事例です。

アント・フィナンシャルは、中国ネット通販大手のアリババの子会社で、オンライン決済プラットフォームの「Alipay(アリペイ)」などを提供している金融関連会社です。5億5000万人超と言われる顧客を抱えるアリババと戦略提携することで、未上場にもかかわらず世界トップクラスの時価総額を叩き出しました。

顧客を膨大に抱える会社が、金融事業を始めることの合理性とインパクトを示した好例と言えます。これに倣い、日本国内の企業も動き出しました。メルカリはメルペイという子会社を設立。ドコモ・ソフトバンク・KDDIなどの携帯キャリアは、社内で一から作るのではなく、既存のフィンテック企業と手を組むことを選びました。そして、LINEが金融業界参入のパートナーとして選んだのが「FOLIO」です。

大手キャリア、さらにはLINEまでもが参入し、フィンテックと手を組み始めました。今後、初めて投資をする人がどんどん増えていくでしょう。一番大切なのは、「何事も習うより慣れろ」の精神だと思います。チャレンジして、失敗して試行錯誤を繰り返すのが一番勉強になる。

また、投資にふれるのは若ければ若いほどいいと思っています。「センター試験に金融の科目を入れてみては」と提案したこともあるぐらいですが、若いうちからの投資教育は、日本の未来に有益に働くと私は信じています。

むしろ、そこまでしてでも投資を国民に根付かせないとダメなんです。年金制度には不安があり、消費税も増税が続いている。銀行の利息は雀の涙ほどしかつきません。様々な意見はあると思いますが、これらにしがみついたままで本当に大丈夫だと言い切れますか?

これからの時代を生きる私たちは、今まで以上にお金にまつわる悩みが尽きなくなります。

その悩みを解決するための有効な手立てのひとつが、資産運用だと考えています。

 

米国や欧州では、個人でファイナンシャルプランナーを雇って資産運用をするのが常識となっています。何でもかんでも米国や欧州を見習えというわけではないですが、投資教育の重要性を国が語っていくなら、実際に初心者がはじめの一歩を踏み出せる手助けをもっとしていかなければなりません。

現状、FOLIOで扱うのは国内株式だけですが、海外株や利回り商品などの販売もしていきたい。今回のLINEとの提携もそうですが、より投資が身近になるような施策を続けていかなければならないと考えています。

ネットショッピングをするような「ワクワク感」

その施策の中心に据えるのは「ワクワク感」であることは変わりません。ただ、中長期的に見て、単に楽しいだけのサービスになってしまうのもよくない。現状は配当金だけで株主優待はありませんが、既存の株主優待に代わるようなサービスも提供していきたいですね。

テーマを選んで購入すれば、自然とその分野に興味が湧く。もっと知りたいとニュースを追う。そのように自発的に行動するようになり、知識がどんどん蓄積されます。投資はもちろん、それに付随して社会全体に関するリテラシーが上がっていくことも期待できます。

FOLIOのサービスは注文することを“カートに入れる”と表記しています。ネットショッピングを楽しむような、手軽に使えて楽しめるサイトでありたいんです。ここ数年でAmazonがネットショッピングを一気に身近なものにしたように、投資もカートに入れる感覚で生活の中に根付かせたいと思っています。

生活のなかに投資が浸透していくこと。それこそネットショッピングぐらいまで投資が一般化することが、これからの日本や人々の生活を支え、生きる力を養うカギになると私は信じています。

(※1:2017年度 民間調査会社の調査結果をもとにFOLIOが算出)

(取材・執筆:田中同年代+YOSCA宮嵜幸志、企画編集:武田鼎+FIREBUG、写真:保田敬介)

甲斐真一郎(かい・しんいちろう)/FOLIO(フォリオ)代表取締役CEO。
京都大学法学部卒。在学中プロボクサーとして活動。2006年にゴールドマン・サックス証券入社。主に日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券同部署に転籍し、アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。2015年11月にバークレイズ証券を退職し、12月より現職。