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原油価格の上昇とアメリカ大統領選挙の「複雑な関係」

米国経済のアキレス腱

一時期、原油先物価格が急上昇した。10月3日、WTI原油価格は1バレルあたり76ドル台まで跳ね上がった。WTI原油価格と並んで市場参加者が注目する北海ブレント原油価格も上昇基調だ。それに伴い、わが国のガソリン小売価格は上昇している。

背景には、米国のトランプ大統領による制裁を受けて、イランの原油供給が減少するとの見方がある。11月4日までにイランからの原油輸入を停止するよう米国は各国に求めている。世界経済全体の需要を考えると原油価格が一本調子で上昇することは考えにくいが、米国とイランの関係がどうなるかは今後の原油・ガソリン価格を考える上で無視できない。

 

イラン制裁強化を重視するトランプ大統領

11月6日、米国では中間選挙が実施される。トランプ陣営とロシアの癒着疑惑、トランプ氏の脱税疑惑などを理由に、下院では民主党が過半数の議席を確保するとの予想が多い。本当にそうなると、下院で大統領の弾劾訴追案が成立する可能性がある。大統領再選を目指すトランプ氏はその展開を避けたい。

トランプ氏にとって有権者の支持を増やすことは、自らの政治生命を保つために欠かせない。そのため、トランプ氏はイランに圧力をかけてキリスト教福音派の人々からの支持を集めようとしている。トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した背景にも、福音派からの支持を確保する狙いがある。

5月、トランプ大統領はイランの核合意から離脱した。8月にはイラン制裁の一部が再開された。これを受けて、イランと米国の関係が悪化し、原油価格に上昇圧力がかかっている。イラン事業を重視してきた欧州企業の撤退も相次いでいる。経済の先行き懸念を反映して通貨(イラン・リアル)が暴落し、穏健派のロウハニ大統領への批判が高まっている。

ロウハニ大統領が国内の安定を維持できるかはかなり微妙だ。9月22日にはイラン国内でテロ攻撃が起こり、イランの強硬派はテロの背後に米国の関与があると主張して対米批判を強めている。一方、ボルトン米大統領補佐官は対テロ戦略の中でイランとの対決姿勢をより鮮明化している。両国の関係は一段と悪化するものと考えられる。

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