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丸亀製麺のピンチを救った、超高額「肉盛りうどん」の奇跡

安易に値下げしない「脱競争」戦略
小野 正誉 プロフィール

「攻め」の発想で危機を乗り切る

既存店の売上定価という危機を救ったのが、2014年8月に発売した「肉盛りうどん」です。

一品で590円(並)もする、丸亀製麺では超高額のメニューです。なにしろ、一品で(後述する)客単価を上回っているのですから。このメニューを出すのは、丸亀製麺にとって大きな賭けでした。

肉盛りうどんといっても、牛丼のようにうどんの上に肉を乗せているわけではありません。 最初は、うどんの上に煮込んだ牛肉を乗せるメニューが考案されたのですが、それだと当たり前すぎて面白くない。しかも、牛肉が出汁に沈んでしまって、見た目もイマイチでした。

「ダイナミックなことをしないと意味がない」と考え、牛肉はうどんとは別のお皿に盛って提供することにしました。それも、本当に「盛る」というぐらい、たっぷりのボリュームで盛りつけないとインパクトがないので、牛丼屋の特盛ぐらいの肉を添えることにしました。

そのメニューを出すとしたら、コスト的にどうしても590円がギリギリの値段だったのです。

 

このときは北米産の牛肉を使用し、玉ネギと一緒に甘辛く煮込みました。うどんの隣の鍋でグツグツ煮込み、いい香りが店中に漂い、お客様の食欲をそそったようです。

最初は実験店舗で出したところ、大好評。そこで、タレントの武井壮さんを起用したテレビCMを打ち、全国の店舗で売り出したところ空前の大ヒットとなりました。

実は、テレビCMを打ったのは、このときが初めてです。かなりの広告費を投入しましたが、結果は、2014年8月の既存店前年対比115%となりました。それ以降、弾みがつき、既存店前年対比の売上100%を上回る状況が40カ月以上も続きました。

店舗を増やすことで、1店舗あたりの売上が減ってしまう。

これはチェーン店としては、ある意味宿命なのかもしれません。

どのチェーン店も企業の規模を大きくするために、同じ地域内で2店舗、3店舗と出店することになります。同じ県内でも離れた地域に出店すれば影響はないのでしょうが、お客様が集まる地域は限られているので、どこにでも出せるというわけではありません。

丸亀製麺同士でお客様を奪い合うのを避けるためには、途中で出店を止めるしかない。しかし現状維持は企業にとって衰退を意味するので、出店するしかありません。どの企業も、そのせめぎあいではないでしょうか。