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トヨタとソフトバンク提携のウラに、じつは「米中貿易戦争」の影

得るものがある一方、新たなリスクが

米中貿易摩擦の板挟みで苦しんでいる日本企業がある。それは、トヨタ自動車だ。その構図を以下に述べていこう。

トヨタの大きな経営課題の一つは「中国戦略」。生産、商品戦略の両面で、独フォルクスワーゲン、日産自動車、ホンダに劣後しているからだ。

そのトヨタに格好の巻き返しのチャンスが訪れた。中国の李克強首相が今年5月に来日してトヨタの工場を訪問以来、トヨタへの評価が高まり、中国でのビジネス拡大の誘いが盛んに来ている。

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トヨタが中国で密かに進める「計画」

中国側がトヨタの誘致を企てるのは、現在、第2首都機能などを目論み建設中の「雄安新区」だ。北京から南西約100キロの河北省に位置し、総投資額2兆元(約32兆円)で、未来都市の建設が進んでいる。2017年春に基本計画が公表され、急ピッチで開発が進んで自動運転の試験場やレジに店員がいない無人スーパーもオープンしている。

自家用車をすべて自動運転車にするなどAIを駆使した新しい交通網を構築するほか、外資などの先端産業も誘致した未来型インテリジェント都市を建設する計画だ。22年までに都市としての基本的インフラを完成させる。その区域面積は、深セン経済特区や上海浦東新区に匹敵する規模となる。

 

この雄安新区は、中国にとって国家の威信をかけたハイテク産業の育成拠点だ。中国は現在、4つの分野でAIプラットフォーム戦略を推進している。その一つが、百度(バイドゥ)が中心の「アポロ計画」で、AIと自動運転を絡ませて世界最先端の技術開発を目論むが、雄安新区もその実験場の一つとなる。

トヨタは、雄安新区にEVや自動走行など次世代技術の開発拠点を設ける計画を密かに進めている。中国は外資規制を緩和したため、合弁ではなく単独の進出が可能になったことを受け、トヨタは独資での進出を目論んでいると見られる。

今年9月中旬、日中経済協会や日本経団連が訪中ミッションを組んで、そこにトヨタの内山田竹志会長が参加した。「内山田氏は急遽、予定をキャンセルして一部別行動を取ったが、密かに雄安新区を訪れていた」(関係者)という。