「学会って意味なくない?」研究者たちが「学会の不思議」に突っ込む

意味がなくても増え続ける謎
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そして、学会の「少子高齢化」も問題になっている。

任期制の職を繰り返して食いつなぐのが当たり前になった現在の研究環境のなかで、分野によっては研究を志す大学院生が大きく減っているからだ。

「学会」なのか「学問」なのか

学問の知を作る中心にあるはずの「学会」。

インターネットなどで論文をはじめとする科学情報がめまぐるしく行き来する現在、報告者の発言からは、知の集積場所としての学会が、その行き場を見失いつつあるように聞こえた。

だが、現実に学会が、一定の実務的な役割を果たしていることも、また確かだ。

「大学院生のデビュー戦」は、裏を返せば、学会のもつ重要な役割ともいえる。経験を積んだ研究者は、学会の場で若手に厳しい質問を浴びせ、その成長を応援する。

ベテランにとっても、その若手がどれくらいの能力と可能性をもっているかが、大会での研究発表を聞けばよくわかる。

大学などで若手研究者を採用しようとする際にも、公募していきなり面接で力量を推し量るより、研究発表を聞いておくほうがはるかに確実だ。

また、農学系の報告者は、「ある特定の生物についての研究は、世界的な論文誌に載せるより、国内の論文誌のほうが適切な場合もある。それも国内の学会の大切な役割だ」という。

「認定医」「専門医」などを認定する医学系学会の職能集団としての機能も報告された。

今回のシンポジウムは、学会が抱える問題点を話し合うのが目的で、そのプラスの意義についての議論にはあまり時間を割くことができなかった。

宮野さんは「研究イコール学問ではない」という。研究して新しい成果が出れば、それを学会で発表したり論文にまとめたりすることになる。それならば学会は「研究」のためのもので、はたして「学問」に奉仕しているのか、という問いだ。

これについて薬学系の研究者は、「学会は『国の研究費を使ってこういう成果が出ました』と報告することに終始してしまう。『なんのためにそれをやるのか』を議論する場にはなっていない」という。

研究者にとって学会は空気のように当たり前の存在で、学会それ自身を、そして学問を再考する場にはなっていない。

宮野さんは「学会は作り物にすぎない。私たちは、もっと学問の話をしなければいけないのではないか」と締めくくった。

(サイエンスポータル編集部 保坂直紀)

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