「言葉だけで誠意のカケラもない人間」を見分けるには

中国古典「三略」で立派な管理職になる
石井 徹 プロフィール

引き継ぎ担当者と大ゲンカに

むかしむかし・・・・・・ある部署に、そういう先輩がおりました。

「俺が、あの作品やっている時さあ・・・・・・」もしくは「俺が、アレをつくっている時にね・・・・・・」などとおっしゃるわけです。

 

あの作品というのは歴史に残る名作だとか大ヒットばかりです。

そのような作品を最初に企画制作した人は全く別な人でした。

この方は3代目か4代目の、単なる引き継ぎの担当者であります。

私たち現場にいた連中は本当のことを知っているのです。

(何言ってんだ?このオッサン)と思っておりましたが、私も長幼の序というものを心得ておりますので黙っておりました。

ところがある時、
「石井君はさあ、こういう大ヒット作をやったことないよね」とバカにしてきました。

「おい、ちょっと待ちなよ」となるわけです。

「あなた、ただ引き継いだだけで、原稿運びしかしてないでしょ。新人も育てことがないし、新企画も出したことがないじゃない。何威張ってんの」。

まあ、こう言われると相手もやっと覚醒するらしく顔面蒼白で怒りだします。

「お、大物を担当するのも大変なんだよっ!」

もうすでに論点がズレています。誰もそんなことは言っていません。

著:堀江一郎 まんが:十条アキ

若い人の間に蔓延する「楽をしたい病」

しかし、心配なのです。

若い連中が、少しずつ、この方の真似をしているからです。

子供というのは親の悪い所を学習してしまうものです。

ある時、編集部の隅っこで資料を読んでいたら若い連中の会話が聞こえてきました。

「だれかがヒット作起こしてくれて、それを引き継ぐのが一番いいよねえ」などと言っているではありませんか。「楽をしたい病」です。

こういう声が組織の中に広がり始めると、たいへんヤバイ。

かなりドラスティックなことをしなくては、組織の再生は難しいでしょう。

不思議なのはこの問題のお方は、妙に上の人や他部署では評判が良かったのです。

ナチスのゲッペルスが言ったとされる「ウソも100回言えば本当になる」という文章が頭をよぎるのです。

ともあれ、組織というのはうまく機能させるのには何年もかかります。

業績を上げなくてはいけない、下は新入社員まで育てなくてはいけない。

しかし社長、部長など権限を持った人に、人を見る目がないと一瞬にして組織は崩壊するのです。

恐ろしいことです。

読者の皆様の中にはこれから幹部になる方、すでになっている方も多いと思います。

試しに、この「三略」を読んでみてください。トップや管理職として、組織をうまく変えていくヒントがあるはずです。

昔、孔子という偉い方が言っておりました。

「巧言令色鮮し仁」(言葉が巧みで愛想を振りまく人間ほど、実は人として大事な徳である「仁」が乏しい)

気を付けましょう。

まんが学術文庫『三略』