働き方改革の前に、政府はまずこの超絶ムダな事務作業を改善してくれ

確定申告の面倒臭さは罰ゲーム級
沢渡 あまね プロフィール

「マイナンバー」ってなんだったの?

確定申告に続き、「働き方改革」の邪魔者として紹介したいのがマイナンバー制度だ。

本来、行政手続きのスリム化や国民の利便性向上を目指して導入された仕組みのはずだが、制度開始から3年、相変わらず手続きの面倒くささと、無益さを指摘する声が目立つ。「このコトバを聞くだけで、イラっとする」という事業主の知り合いもいる。

マイナンバー制度は、控え目に言って『発想は良いが、運用が残念』な仕組みの典型である。

まずもって、個人から事業者への提出が本当に面倒くさい。紙ベースの、無駄な事務作業や郵送業務をいたずらに増やす。

事業者から個人に一定金額以上の支払い事案が発生すると、個人は事業者からマイナンバー情報の提供を求められる。多くの場合が紙で郵送。セキュリティ意識が無駄に高いところは、書留で送れと言って来る。

これは、むしろ無駄に個人情報を印刷させ、郵送させることでセキュリティリスクを広げる愚行である。筆者は過去に3回、コンビニエンスストアのコピー機に、マイナンバー通知カードと運転免許書のコピーが忘れられているのを目にした。

専用のアプリケーションを使って、スマートフォンなどで提出を可能にしている企業もあるが、いずれにせよ面倒くさい。

企業によっては、マイナンバー情報の収集業務を外部の専門業者に委託しているところもある。その場合、良く知らない代行業者からマイナンバー情報提出依頼が個人の手元に届く。

「あなたたち(企業側)だけラクして、個人のタダ働きは増やして無視かよ!」
こんな一言もいいたくなるのである。

マイナンバーカード、使ってますか?

これほどまでに面倒な作業を増やしておきながら、出生、相続、死亡、介護、不動産登記の手続きなどがラクになったかというと、そうでもない。

筆者の友人に、つい最近親戚が亡くなった方がいる。相続や、当該自治体に住民税を支払うための手続きなど、慣れない事務手続きや紙ベースの書類作業でそれは大変だったという。

役所や、病院や、その他行政機関同士。何の連携もなくさまざま窓口をハシゴさせられる。都度紙の手続きをさせられる。その間、彼の仕事もプライベートも止まったままだ。

日本のマイナンバー制度は、行政連携の再設計をせずに、制度だけ先行させた悪しき事例だ。マイナンバー制度の発想そのものは素晴らしいため、なおさらもったいない。

北欧のエストニアやスウェーデンでは、マイナンバー制度により行政手続きが実際にスリム化された。その分、国民も公務員も、無駄な手続き業務から解放され本来の仕事やプライベートに時間を使うことができるのである。このように、きちんと設計して、きちんと運用すれば素晴らしい仕組みなのである。

電子化を進めるはずのマイナンバーが、無駄なアナログ作業を生む。しかもタダ働き。これまた納税者というお客様の生産性を下げる。日本の現在のマイナンバー制度は、「働き方改革」に完全に反する実にあほらしい慣習なのである。