働き方改革の前に、政府はまずこの超絶ムダな事務作業を改善してくれ

確定申告の面倒臭さは罰ゲーム級
沢渡 あまね プロフィール

事務作業が苦手な人だっているんだよ

「何でも出来なければいけない」
「事務作業は出来てあたり前」

いわば「五教科まんべんなく出来なければいけません」的な国公立大学入試主義さながらの同調圧力が、国民の活躍を邪魔している(そういえば、中央省庁は国公立大学出身者が多いようだが……)。

事務作業によって、国民の時間や精神力、機会を奪われることは、はっきりいって国全体の損出である。

アーティスト、エンジニア、写真家、漫画家、作家にクリエーター。こういう人たちが、本来業務に集中できる社会こそが「生産性の高い」国ではなかろうか? 

「ダイバーシティ(多様性)」が価値を生む社会とはそういうことではないか? 彼・彼女たちが能力を発揮するのは事務作業、そこじゃない。

事務作業にも、人による向き・不向きがある。ニガテな人はいくら鍛えても得意にならない。新入社員のとき、「このくらいの事務作業もできないの?」と先輩から言われて傷ついた経験がある人もいるだろう。 

その人の特技は事務作業ではないのに、「出来て当然」の事務作業が相手の自己肯定感をいたずらに低下させ、活躍機会も奪う。

ニガテな人に無理に押しつけたところで、ミスも増えれば、それをチェックして差し戻す人の稼動も増える。両者の関係も悪くなる。確定申告の間、全国各地で発生するイライラは、家族など周りの人にも悪影響を及ぼす。

えっ、「ニガテは克服しろ!?」 出た! 日本社会お得意の、気合と根性論。そのニガテを克服する労力、もっと価値ある事に使ったほうが良くないだろうか?

政府は副業促進を謳い始めている。国民の生産性をあげる方法として、それは必ずしも悪いことではない。

しかし、副業をすれば確定申告が発生する。気軽に副業を始めて、2月に青ざめる人も少なくないだろう。3月頭の税務署は毎年、申告者の長蛇の列、駆け回る税務署職員、阿鼻叫喚の地獄絵図。

サラリーマンに副業をさせて、税収を増やしたいのは分かる。しかし、確定申告のようなブラック労働を軽減せずして、身入りだけを増やそうとするのはいかがなものか? 既存の制度の見直し抜きに、安易に副業を煽るのはやめて欲しい。

 

納税がイヤな訳じゃないんですよ

こんなことを言うと、以下のような批判を受けそうである。

「何を言っているんだ、納税は国民の義務だろう」
「税理士など、専門家を頼ればイイじゃないか。最近は、確定申告をラクにするクラウドサービスもあるだろう」

ここで断っておきたいのは、「確定申告を嫌がる人たち=納税を嫌がる人」ではない。単に本来業務で活躍したい、無駄な間接業務・ニガテな事務作業に時間とやる気を奪われたくないだけなのだ。

むしろ、たくさん働いて、きちんと納税したい人もいる。(とはいえ、図に乗って累進課税制度を加速したりしないように。それはそれで、働きたい人のモチベーションと生産性を大きく下げる)

確かに、最近は確定申告をラクにするITシステムやクラウドサービスも出てきている。しかし、それは根本的な問題解決にならない。今までの手続きや業務フローをただシステム化しただけでは、本来の無駄な仕事はなくならない。生産性向上の肝は、無駄な間接業務をいかに無くすかにある。その努力が政府には足りない。

そもそも国税の目的は何か? 税収を増やすことであり、一円一円をこまかく申告させて把握することではないはずだ。無駄な事務作業をさせることではないはずだ。