また、元CAの彼女はシートベルトについても指摘した。

動画を見てあきらかなのはお子さんがシートベルトをしていないこと。乱気流に巻き込まれることもあるので本当に危険なんですが、親御さんはどうするつもりなんでしょう」

そうなのだ。自分たちに限っては乱気流は関係ないと思っているのだろうか。

飛行機に乗って騒ぐ子どもすべてが悪い、とは思っていない。ましてや、子どもの誰も彼もが騒ぐわけではない。

ニューヨークから東京へのフライトで、エコノミークラスの3列シートで、私以外の2席には、10歳くらいの男の子、5歳くらいの女の子が座っていたことがある。

「げ、親はいないのかよ」と思ったら、両親はビジネスクラスに乗っていたようだ。両親が代わる代わる様子を見に来ていたが、10時間を超えるフライトにもかかわらず、二人は終始おとなしくしていた。飛行機慣れしているのだろう。また、きっとそういう子どもたちだったからこそ、親も席が離れていても問題ないと判断したのかもしれない。 

子どもがいる失望感を「お手並み拝見」に変換

繰り返しになるが、飛行機にはいろいろな人が乗っている。思わぬ「事件」に遭遇することもある。それを含めて、私はフライト中の機内という特殊な空間をできる限り楽しみたいと考えている。ちょっとした運試しに挑むように。すぐにでも泣き出しそうな赤ちゃんが近くにいるときは、失望感がわきあがってくるのをおさえ、「じゃ、お手並み拝見ってことで」と強引に気持ちを切り替える。気分の持ちようで、だいぶ受けるダメージは変わってくると思う。

が、それにしてもあの動画レベルの騒々しさが8時間続くのは、かなりの拷問だ。「本当に不運でしたね、きっと今後いいことありますよ」と、あのフライトの乗客をねぎらいたいくらいだ。そして、もし私だったら。やはり直接は注意しにくいのでCAに一言、相談するだろうな、と思う。きっとすでに大勢の人がCAに相談したのだとは思うけれど……。

騒音と迷惑行為は子どもだけじゃない

前述の元CAはこうも言っていた。

「うるさいお子様がいらっしゃるとき、騒がれるよりもと手厚く手厚くして、おもちゃをあげてみたりサービスしたりあやすお手伝いをしたり、至れり尽くせりになることもあります」

……ああ、なんだか切ない。ほかの仕事をこなしながらあやすその姿を想像するだけでちょっとした哀愁を覚えてしまう。CAも困っている。そして、CAを困らせているのは子どもだけじゃないのだ。

「騒音は、天候での遅延などに理解の深いお客さまでも、あの動画のように騒音となっている場合は嫌な顔をされます。『近くに子どもがいたんだよね……』と降りる際におっしゃる方もいます。お気持ちもわかりますが。

ただ、騒音や迷惑行為は、お子様だけに限ったわけではありません。いびきがうるさくて眠れないといわれ、さすがにどうしようもないので周囲のお客様に耳栓を配ったこともありますし、体臭の苦情で席を交換してほしいと言われたこともあります。ただ、欧州からの帰国便の中、突然立ち上がって大声で『ハイル・ヒットラー!』と叫んだお客様のときは、空気が凍り付きました」

赤ちゃんや幼い子どもは「仕方ない」とはいえ、やっぱり親には「音は騒音になる」ことを理解してほしい。子どもだからとなんでもかんでも許されるわけではないし、「仕方ない」にも限度というものがあるのだ。

そして頑張っている親に対しては、「睡眠薬飲ませろ」「とにかく静かにさせろ」とは言わず(一番静かにさせたいのがその親のはず)、私たちも「お手並み拝見」と気持ちを切り替え、広い心を持っていきたい(心の中で失望感を覚えたとしても)。大人が迷惑行為をするのは論外。要は、乗客ひとりひとりが他人に迷惑をかけないようにすればいいだけとも言えるのだけれど。

機内は密室の公共の場。快適なフライトであることを心から祈りながら、今日も運試しに行くことにしよう。