1969年のアポロ11号ミッション後に失われた月の石のうち、ルイジアナ州とユタ州のものが最近になって見つかった。
これにより、依然として所在がわからない州はニューヨーク州とデラウェア州だけになった。
月の石の所在を探り続けている弁護士のジョゼフ・ガットヘインズ氏は、一部の州が、贈られた月の石を管理簿にきちんと登録し、保管していなかったことに「ひどく驚きました」と語る。
しかしガットヘインズ氏は、残り2州の分も、アポロ11号の月着陸から50年にあたる2019年夏までに発見できると期待している。
「月の石は、触れることのできる歴史です。ニール・アームストロング宇宙飛行士の最初の任務は、月からの緊急帰還が必要な場合に備えて、地面に手を伸ばして月の石と砂をつかみとることでした」(ガットヘインズ氏)
ニクソン政権は、こうして持ち帰られた小さな月の試料をアメリカの全50州と海外135ヵ国に贈った。しかしそのほとんどが公的記録に登録されず、多くが行方不明になったと、ガットヘインズ氏はいう。
各州が受け取った小さな月の試料は、アクリルの中に収められ、州旗とともに木製の盾に取り付けてあった。博物館に置かれたものもあれば、州議事堂に展示されたものもあった。
しかし、アームストロング宇宙飛行士と同僚のバズ・オルドリン宇宙飛行士が採取したその石を、保存管理簿に登録した州はほとんどなく、多くの州で所在がわからなくなってしまったという。
ガットヘインズ氏は、彼がそうした月の石を探す取り組みの先頭に立つようになった2002年の時点で、40州で月の石が行方不明だったと推定している。
「その理由としては、私たちが(アポロ計画が実施されていた) 当時、やがて月には日常的に行くようになると心から信じていたことも関係しているでしょう」(ガットヘインズ氏)
しかしアポロ11号以降に実施された有人月着陸は5回のみで、1972年のアポロ17号が最後になった。
またガットヘインズ氏によれば、他の国に贈られたアポロ11号の石のうち、およそ7割の所在がわからないという。
アメリカ政府は、アポロ17号ミッションの終了後にも再度、月の石を親善目的で各州と他の国に送付したが、この石の多くもまた行方不明になっている。