大谷翔平選手のメジャー1年目が終わりました。
打者として104試合で打席に入り、打率が.285、22本塁打、61打点、10盗塁、出塁率は.361。本塁打数は、メジャーに挑戦した歴代の野手の中でトップでした。
投手としては10試合でマウンドに入り、51回と2/3を投げ、4勝2敗、防御率3.31。これも、実働約2ヵ月だったことを考えれば、素晴らしい成績です。
こちらでは、Rookie of the Year Award(新人王)の行方が特集されたりもしていますが、成績だけならヤンキースのミゲル・アンドゥハー、レイバー・トーレスの両内野手に分がありそうです。投手としての実績がどれだけ評価されるかが鍵を握るでしょう。
ただ、このあたりは本人はそこまでこだわりはないかもしれません。とにかくずっと楽しそうにプレーしていたので、タイトルなどよりもメジャーでプレーした喜びそのものが勝るのでしょう。
エンゼルスのOBとしても、ファンとしても嬉しい限りです。そして、シーズンを通してチームの力になってくれた。DL(故障者リスト)にも入りましたが、それすらもメジャーの経験として彼のプラスに働くことでしょう。
春先を思い出せば、オープン戦は投げれば7失点、打席でも打率は1割台と不安がつきまとう数字が並びました。
ファンやメディアから、「大丈夫か」と心配の声も多く挙がったのですが、実は同じグラウンドに立っていたチームメイトは割と楽観的でしたね。この時期に、マイク・トラウト選手と話をする機会があったのですが、「今はまだ結果は出てないけど、彼に能力があることは何の疑いもない。きっと良くなるよ」と言っていたのを覚えています。
よくなるどころではなく、素晴らしいシーズンを送ってくれましたね。特にトラウト選手と大谷選手が笑顔でハイファイブをしているシーンなどは、日米の野球小僧の共演のようで微笑ましく頼もしいですね。来季以降もファンを魅了してくれそうです。
肝心の来季ですが、日本でも盛んに報道されている通り、シーズン最終戦翌日に、ニール・エラトロッシュ医師の執刀で右肘内側側副靱帯の再建手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けました。
このエラトロッシュ医師は、フットボールや、バスケットボールなどのチームドクターでもあり、西海岸のスポーツ医療の権威の一人です。夏にはエンゼルスのエース、ギャレット・リチャーズのトミー・ジョン手術も担当しています。
一般的にトミー・ジョンからの術後復帰は、個人差はあると思いますが、リハビリに約15ヵ月かかると言われています。日本人投手で言えばダルビッシュ有投手がレンジャース時代の2015年3月に手術を受け、復帰したのが2016年の5月ですから、彼の場合は14ヵ月かかっています。
ただ、これはあくまで投手としての期間です。二刀流の大谷選手は「早ければ来季、開幕に指名打者として復帰できる」といった意見もあります。確かに靭帯の損傷が判明した後も、打席に立ち何本ものアーチをかけ、「ホームランに靭帯は必要なかった」と現場をザワつかせた彼の打撃は、来季も期待されていますし、チームに不可欠です。
しかし、来シーズンは今シーズンと同じではないと私は思います。
そもそもトミー・ジョン手術は「投手大谷」が完全復活するためのものです。打者としてのスイングや、走者としてのパフォーマンスが靭帯の回復にどこまで影響を及ぼすかはわかりませんが、リハビリに遅れが出る可能性はかなり高いです。「打者大谷」が「投手大谷」の足を引っ張っては決してならない。
そして、来季はそこまで無理しなくてもいいのでは。というエンゼルスのチーム事情もリンクしてきます。