東大?早慶? 大学なんて関係ない「地頭格差」の時代にどう生きるか

GAFAではもう当たり前
週刊現代 プロフィール

ジョブズも高卒だった

林部氏が言う「地頭力」には、3つの要素がある。

「初めての業務でも自分なりの仮説を立てて実行できる柔軟性、次に色々な分野の人を巻き込むコミュニケーション能力。それに加えて、アマゾンでよく言われるのは、リーダーシップです」

では、アマゾンはそうした力のある人材をどうやって見出していたのか。林部氏が続ける。

「一番良いのは、二軍のトッププレイヤーを採用することです。東大でビリよりも、それより偏差値が下の大学のトップのほうが良い。やはりトップということは地頭力を兼ね備えていることになる。非常に賢い不良学生のリーダーでもいいんですよ。

ただし実際にはそんなリーダーシップを持った学生を見出すのは難しいですから、地頭力が高い可能性を秘めたMBA保有者を採用する場合が多いですね」

 

米国グーグル本社の元人事部門トップも、自著で、「アイビーリーグの平均的な学生より州立大のクラスのトップを採用したい」と明かしている。大学名ではなく、どの集団でも突出したトップ、いわば枠に収まりきらない人間のほうが成功すると考えているのだ。

そもそもアップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズもオレゴン州にある私立のリード大学を中退。フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグもハーバード大学を中退している。

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ジョブズは高校時代に、後にアップルの共同創業者となる5歳年上のスティーブ・ウォズニアックと組んで、公衆電話の回線をハッキングして、長距離電話を無料でかけられる装置を開発。

これを販売して一儲けし、警察の捜査が自分たちにおよぶ危険を感じるとアッという間に撤収した。大学の授業はおカネの無駄だと5ヵ月でドロップアウト。その後は興味ある授業だけを聴講していた。

ジョブズにとって、大学の成績など何の価値もなかっただろう。
「顧客に欲しいものを聞いて、それを与えるだけではいけない」
そんな言葉を残した彼が目指したのは、顧客のニーズのその先。見えている世界が違うのだ。では、彼らはどのように仕事を作り出すのか。

前出・尾原氏がグーグル勤務時代に担当したミッションの一つが、航空会社から提供されたデータの活用だった。

「エンジニアが作ったAIや技術を、どのような形で、何と繋ぎ合わせれば上手く機能するのかを考えて実行するんです。私が携わった新しいサービスは、飛行機を予約したユーザーなどに向けたもの。

フライトを予約すると自動的に端末のカレンダーに予定が登録され、当日になると、交通渋滞の状況などを判断し、早めに自宅を出ないと飛行機に間に合わない場合などは知らせてくれるというシステムでした」

そのような新しいサービスを生み出す業務は、「ひらめき」がなければどうにもならない。

尾原氏が続ける。

「グーグルが一番大事にしている能力は何かというと、自分が解決可能な、最大インパクトをもたらす課題を自ら設定し、それを解決するまでやり抜く能力なんです。そして、グーグルには課題を自ら見つけて解くことが面白くて仕方がない人たちが集まっています」

GAFAではそんな社員たちが出世競争を繰り広げ、ときには他社に引き抜かれ、ときには独立して起業する。

「僕がグーグルで凄いと思ったのは、『ポケモンGO』を生み出したジョン・ハンケ氏(元副社長)です。元々、彼は地球上のあらゆる場所を衛星写真で見られるグーグル・アースのプロジェクトを担当していました。

その延長線上で、人が歩くということをもっと楽しめるようにしたいと考えて、ポケモンGOの元になったイングレスというゲームを作りました」(尾原氏)