4兆円カジノ都市・マカオに集う「中国超富裕層」が日本に来る日

莫大な中国マネーは日本に落ちるか
尾嶋 誠史 プロフィール

日本のカジノ運営を成功させるには

マネーロンダリングや反社会的な活動などを懸念してか、現在日本のカジノにおいては、ジャンケットによるゲーム運営や賭け金の貸付などは、制限される可能性が高いとニュースでも報道されています。ただ、これは個人的には非常に「もったいないな」と思ってしまいます。

現在、マカオのカジノの売上の大部分は、ジャンケットが運営するVIPルームから生まれています。つまり、ジャンケットの動きを制限することは、その売上の大半を逃してしまうことになります。手持ちのお金が尽きたときに、すぐにお金を貸してくれるジャンケットがいれば、富裕層も気持ちよくお金を使ってくれるので、カジノの売上は増えます。

また、富裕層は最高級のサービスや特別扱いされることに慣れた人ばかりです。一般客と同じ扱いをされることに、彼らは魅力を感じません。マカオやシンガポール、韓国といったご近所に、自分たちをもっと良いVIP待遇で受け入れてくれる国があるならば、何もしてくれない日本のカジノにわざわざ来る必要がありません。

富裕層の獲得は、日本のカジノを成功させるうえで、一番に掲げるべき目標です。だからこそ、富裕層の好きなものを熟知し、彼らをアテンドするプロとしてジャンケットが必要だと、僕自身は思っています。

僕自身が「日本でもカジノを作るべきだ」と思う理由のひとつにあるのが、日本の置かれたこの好立地。マカオに比べて圧倒的に飛行機の便も多く、海外からのお客を迎えるには悪くないのではと思います。当然ながら、同じアジアに位置するため、日本は中国に地理的にもとても近い場所にあります。そのため、マカオのカジノだけで日ごろの憂さを晴らしていた中国の富裕層たちが、大量に日本に流れ込んでくる可能性が高いのです。

 

日本の細やかなサービスも武器に

もし日本にカジノができたら、他国よりも日本が優位に立てるであろう最大の理由としては、日本の国際的なブランド力が挙げられます。これは再三言われてきたことではありますが、日本製品への信頼度の高さは相変わらず健在ですし、なにより日本は国際的にも類を見ないほどサービス力が高い。五輪招致の際に使われたあのフレーズ「おもてなし」力がずば抜けています。日本のサービス力の高さは、非常に魅力的で、国際市場で戦う日本にとって最大の武器になるはずです。

特にカジノのディーラーなどは、常に上質なサービスに触れてきている富裕層を相手にすることが多いため、高度に臨機応変でスマートな対応を求められるものです。日本人のこまやかな気配り力やおもてなし力をもってすれば、おそらく世界水準でみてもかなり優秀な人材を多数輩出できるはずです。

アメリカのラスベガスや中国のマカオでは、ディーラーは立派なひとつの専門職として成立しています。場合によっては、世界中に優秀なカジノ人材を供給することで、カジノディーラーは日本を代表する職業のひとつになるかもしれません。

重要なのは、一般市民への防止策

ただ、ひとつ重要なことは、日本の一般市民がカジノにハマらないために、なんらかの防止策を作ることです。

長年カジノを見てきた僕自身も、いっときはカジノでギャンブルしたこともありますが、いまとなってみては僕自身がカジノでギャンブルをしたいとは全く思っていませんし、逆に周囲の人がカジノで遊びたいと言ったら、止めるでしょう。

富裕層のようにお金に余裕がある人であれば、カジノに行くことは止めません。ひとつの娯楽として、カジノは非常におもしろいゲームであるからです。ただ、それはあくまで余剰資金で遊ぶから楽しいという話であって、一般の方が自らの生活費を削ってまで、カジノにギャンブルをしに行くことはおすすめしません

なぜなら、9割の人がカジノでは勝つことができないからです。カジノの最大の恐怖は「一度ハマると抜け出せない」という点です。誰もがやる前は、「ほどよいところでやめられるから大丈夫」と思っているようですが、それはなかなかたやすいことではありません。

一度勝ち始めると「もっと勝てるかもしれない」とついストップできずにそのまま突っ走る。そして、勝っていたお金もすべて失ってしまうまで、つぎ込んでしまうのです。また、負けたときも同様。負けたがゆえに「これまでつぎ込んだ分を取り返さなければ」「もしかしたら、あと1万円分つぎ込んだらツキがくるかもしれない」などと思ってしまい、やめられません。そして、自分の持ち金はおろか、様々なものを担保に預けて、気が付いたらすべてを失っていることも多いのです。

それは、もはや病気と同じこと。ギャンブルで一攫千金を狙うのは、よほどの資金力がある人が、自分の資金のなかから、きちんと上限金額を決めて、あくまで遊びのひとつとしてやる範囲内でないと難しいと思います。

僕は6年のうちに、カジノで身を滅ぼした人の話も山ほど見聞きしました。その実情を、次回はお伝えしたいと思います。

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