4兆円カジノ都市・マカオに集う「中国超富裕層」が日本に来る日

莫大な中国マネーは日本に落ちるか
尾嶋 誠史 プロフィール

大富豪たちがお金を使う仕組み

マカオのカジノは140円前後から賭けることのできる「平場」と呼ばれる一般フロア、最低4万5000円くらいから数千万円が動く「ハイリミット」と呼ばれるフロア、そして富裕層向けの「VIPルーム」の3つから構成されています。「VIPルーム」を運営するカジノ経営に関わるのが「ジャンケット」と呼ばれるエージェントたちです。僕はこのジャンケット集団に参加しています。

「ジャンケット」という集団がいることで、中国の富裕層は海外への金銭持ち出し禁止や、香港とマカオへの渡航回数制限などというハンデを乗り越えてマカオでギャンブルをすることができるのです。

 

例えば、持ち出しのみならずギャンブルで稼いだお金をどうやって中国本土に持っていくのか。これは中国人富裕層にとって、大きな課題でもあります。

中国政府は中国の人民元の為替の安定や国内資産の流出を防ぐため、人民元の海外持ち出しに非常に敏感です。仮に中国人が海外へ資産を持ち出す場合は、そのお金がどの銀行から引き出されたお金なのかを証明する書類が必要になります。

反対に中国へ資産を持ち込むときも、申告が必要になります。その際に問題となるのが、「そのお金がどこから来たのか」。マカオでギャンブルをすること自体は違法ではありませんが、中国人の建前として法律上、ギャンブルは禁止されています。もしも、ギャンブルで勝ったお金を中国に持ち込もうものなら、すぐに没収されてしまいます。

現金で持ち込めないとはいえ、政府側にせっかく稼いだお金をとられてしまうのはもったいない。そこで、防止策として、ジャンケットはお客様がカジノで大勝ちしたお金をチップとして預かることもあります。そうしておけば、次回お客様が来たときに、そのチップを使って、また遊ぶことができるからです。

中国の大富豪たちが中国に持ち帰れないお金。それをチップの形で「ジャンケット」と呼ばれるエージェントに託し、再び来た時にそれを引き出せれば、富豪たちは心置きなく遊ぶことができる Photo by iStock

カジノは「ただギャンブルだけをする場所」だととらえられがちですが、ジャンケットが存在することで「現金の代わりに、チップを出し入れできる」という点では銀行と同じような機能を兼ね備えているともいえるのです。