# 子育て # 育児

わが子の「考える力」を奪う親たち、その意外過ぎる共通点

名門小学校の副校長が教える
田中 博史 プロフィール

もしも、長靴を見て、「お母さん、どうして長靴なの」と尋ねたり、「玄関のドアをあけて、外を見て「これだと暑いんじゃないの」と言い出したら自分の子育てはまだバランスはいいかなと自信を持とう。たったこれだけでも、子どもとの付き合い方が変わるきっかけになる。

食事の準備を手伝わさせている時に、わざとスプーンや食器を足りなくしておく。子どもが数が合わないよと言い出したら、「えー、ごめん。じゃあ、お願いしていい?」と頼む。

友達が来ていたりお客さんがいて人数が多い時ほど面白い。「えーと、スプーンは4つで出てるから、あと3つかな」と指で確かめたり、コップに対応させたりして子どもなりの工夫をする。この時も親は少し引き下がって、わざと準備していたものを一つずつ運んでみせて忙しくしてみせる。

子どもが「足りないものを数えて一度に持っていけばいいのに」と言ってくれたらまたまたそれを頼む。こんな小さな小さな場面が毎日の中にはたくさんある。ただし、親が任せてもイライラしないことにしておかないと、せっかくの場面も台無しになるからご用心。

 

身の回りに子育ての教材はいくらでもある

先日は、飛行機の中で通路を通る親子連れの会話を聞いていて面白かった。父親が後ろから来る子に「かばんは体の前だよ」という指示をしつこいくらい繰り返しながら通っていく。後ろの子どもはもううんざりという顔。お父さん、そのぐらいその子も考えられるから任せてみれば……と言いたくなった。

でも、ふと思う。私も自分の家族といる時はきっとこうして口やかましく指示を出し続けていることがあるかもしれないなあと。他人のことならば大人と子供のこうした会話を冷静に見守ることができるのに、自分のこととなるとできないのが人の常。

つまり誰もが評論家のようなコメントはすぐに言えるようになる。でもその時、批判だけでなく自分だったらどうするかなといつも考えてみるように努めていくと、身の回りは子育てのためのいい教材がたくさんあることに気がつく。

我が子が考える子になるように日常の接し方をこうして少しずつ変えていくことができたら子どもが知的に動けるようになる。

プリントやワーク問題を面白がって解く子どもはこの次のステップにいる。逆にプリントやワーク問題をいくら得意気にさくさく解いても生活力のない子のままでは社会に出て役に立たない。そんな張りぼての様な知識をあわてて詰め込まなくても、毎日のバランスの良い子どもとの接し方の中で子どもの考える力はちゃんとつく。

大切なのは、その子の傍に一番長くいる大人自身のバランス感覚かもしれない。