〔photo〕iStock
# 育児 # 子育て

わが子の「考える力」を奪う親たち、その意外過ぎる共通点

名門小学校の副校長が教える
社会に出て役に立つ子、稼げる子を育てるため、多くの親がお金と労力を惜しまない。しかし、国立筑波大学付属小学校に30年余り勤務し、現在は副校長を務める田中博史氏は、日常の接し方にこそ子どもの「考える力」(または「知的に動ける子ども」)を育てるチャンスがあるという。その子育ての具体的な方法を、実例とともにくわしく聞いた。

お母さん、あなたの負けですよ

夏休みの旅行中、周りを見渡すとたくさんの親子連れ。楽しそうな旅の最中なのに、子どもが泣きべそをかいていた。どうやら親子喧嘩勃発のよう。

漏れ聞こえてくる子どもの言い分は「ぼくは聞いていない」「そんなの初めて知った」「ぼくはやりたくない」という言葉。どうやら親子で行うイベントを親が勝手に申し込んだことが原因のよう。小学校の低学年の男の子だった。

〔photo〕iStock

傍で聞いていると、この男の子の言い分の方が筋が通っていて、私は心の中で(お母さん、あなたの負けですよ 笑)と言いたくなるが、まあそこは突然変なおじさんが乱入しても仕方ないので知らん顔。すこしして、実はすぐそばに父親もいたことに気がついた。さわらぬ神にたたりなしを決め込んでいる。まあ、これはこれで賢いのか。どちらの味方をしても禍根を残すと判断したらしい……。 

でもスマホをいじりながら事態がおさまるのを待っている父親の表情は、明らかに画面には目は注いでいない。健気なお父さん、頑張れ。応援したくなる。

こうした光景、皆さんの周りにでもたくさん起きているのではないか。

 

子どもの「考えたい」という気持ち

私は、この原因は、子どもたちが小さくても既に「自分で考える生き物」だということを、親が認識するのが少し遅いからだと思っている。

彼らは体は小さくてももうりっぱなひとりの人間。逆に言うと、彼らは本当は最初は自分で「考えたい」のだ。

しかし、日々、すべてを先に決められてしまう生活を繰り返していると次第に他に頼るようになってしまう。プリントやワークシートの試験問題などの時だけ考えさせようとするけど、そうはいかない。

他の人に決めてもらう方が楽な時間をたくさん過ごしていた子どもは、こうしたテストのような問題の時にも、自分で決めないですぐに他の誰かを頼るようになる。