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軍人でもわからない…トランプ政権「国防体制」の輪郭が見えてきた

軍が大きく変わっている

急速に進む米軍の組織変更

米国のドナルド・トランプ政権も任期半ばにさしかかり、国防体制の輪郭が見えてきた。国家安全保障戦略(2017年12月)、国防戦略(2018年1月)、核態勢見直し(2018年2月)といった公式文書が昨年末から今年はじめに相次いで発表された。

続いて宇宙軍という、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊に続く6つ目の新たな軍種の創設も発表され、準備が進んでいる(既存の5つの軍種のうち沿岸警備隊は、平時は国土安全保障省の管轄下にあるが、有事には国防総省の管轄下に入る。他の4つは常に国防総省の管轄下にある)。

米軍の場合、軍種には「フォース」という言葉が使われる。ミリタリー・フォーシーズ(軍隊)やエア・フォース(空軍)などが分かりやすい。

こうした軍種は、兵員のリクルートや育成において責任を持つ。海軍の潜水艦乗りや空軍の戦闘機パイロットといった職種に応じた訓練を提供する。

そして、そうして育成した兵員を実際の戦闘活動に提供することになる。そのため、フォース・プロバイダー(戦力供給者)という言い方もされる。

それに対して、実際に兵員を用いて戦う戦闘部隊はフォース・ユーザー(戦力使用者)とも呼ばれる。それが統合軍であり、国防総省管轄下の4つの軍から提供された兵員を必要に応じて統合し、「コマンド」を組織する。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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この統合軍は、昨年9月に現代ビジネスで原稿(「在日米軍より強大『太平洋軍』の役割と任務を知っていますか」)を掲載していただいた際には、まだ9つだった。

ところが、今年5月、トランプ大統領は突然、サイバー軍(USCYBERCOM)を最上位の統合軍にすると発表し、現在では統合軍は10になっている。

 

それまでサイバー軍は戦略軍(USSTRATCOM)の隷下にある準統合軍だった。2017年8月にトランプ大統領はサイバー軍を最上位の統合軍にすると宣言していたが、実行するには時間がかかると見られていた。それがいきなりといって良いほど唐突に格上げされた。

サイバー軍は統合軍の「コマンド」であるのに対し、宇宙軍は軍種の「フォース」なので、その扱いはずいぶん異なることになる。

しばしば、宇宙は第四の作戦領域で、サイバースペースは第五の作戦領域だといわれるが、サイバー軍と宇宙軍は、組織上は並列には置けない。

トランプ大統領がその違いを明確に認識しているのかどうかは分からないが、とにかく、米軍の組織変更はトランプ政権になって急速に進んでいることになる(なお、軍種としての宇宙軍に加え、統合軍としての宇宙軍も検討されており、新編されれば統合軍は10から11になる)。