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地球環境を激変させる「SF的遺伝子操作技術」まもなく現実になる

ビル&メリンダ・ゲイツ財団が財政支援

地球の生態系を変えるSF的な技術、「遺伝子ドライブ」が俄かに現実味を帯びてきた。

英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、マラリアの感染源となる「蚊」に遺伝子ドライブを適用し、(実験室という閉じた環境の中で)その個体群を事実上、全滅させることに成功。この研究成果を先月下旬、英ネイチャー誌に発表した。

https://www.nature.com/articles/nbt.4245

こうした活発な技術開発と並行し、世界的な慈善団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団の財政支援を得て、遺伝子ドライブを組み込んだ蚊をアフリカ大陸に放ち、マラリアを撲滅する計画が着々と進んでいる。

が、食物連鎖をはじめ生態系のネットワークに深く組み込まれた「蚊」など昆虫に遺伝子ドライブを施すことは、長い目で見れば地球環境に不可逆の悪影響を及ぼす危険性もあることから、拙速な実用化を懸念する声も聞かれる。

今年4月ロンドンで開かれたマラリアサミットで講演するビル・ゲイツ氏〔PHOTO〕gettyimages

遺伝子ドライブとは何か?

「遺伝子ドライブ(gene drive)」とは、ある遺伝子を特定種の個体群全体へと速やかに広めるための遺伝子操作技術だ。

そう言われても今一つピンと来ないかもしれないが、要するに遺伝子ドライブの主な目的は(マラリアやデング熱、ジカ熱など)感染症を撲滅することだ。

 

このために何らかの特殊な遺伝子(たとえばオスあるいはメスの繁殖能力を破壊する不妊遺伝子)を、「蚊」など特定生物のDNAに組み込み、これを野に放つことによって、その個体群全体へと遺伝子を拡散させる。

これにより感染症の媒介となる個体群(population)がやがて全滅し、感染症は撲滅されることになる。(必ずしも、このやり方とは限らないが)こうした類の技術が、一般に遺伝子ドライブと呼ばれている。

遺伝子ドライブはこれまでのところ理論的な可能性や研究室内での実験段階に留まり、野生環境で実用化されたことは一度もない。

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