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県知事選の「投票結果」から考える、沖縄・若者世代の複雑な思い

「辺野古疲れ」と経済振興への期待
沖縄国際大学で教鞭を執る野添文彬氏は、日々、沖縄の学生と接し、授業でのアンケートを取るなかで、彼らが、ある感覚を共有していることを感じるという。「基地疲れ」「辺野古疲れ」である。単純な「基地容認」ではなく、これまでの経緯と世代的な経験から生じた複雑な思いだ。そうした若者の感覚は、今回の知事選にどう影響したのか。投票結果から読み解いていく。

翁長雄志知事の死去に伴って9月30日に行われた沖縄県知事選挙では、玉城デニー氏が39万6632票を獲得し、政府・与党が支援する佐喜眞淳氏に約8万票差で圧勝した。玉城氏は、翁長氏の遺志を引き継いで日米両政府が推進する宜野湾市の普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に反対することを公約に掲げた。

その玉城氏の勝利は、改めて日米同盟や日本の安全保障政策に対する沖縄県民の異議申し立てを突き付けることになった。

今回の選挙では、18歳以上が選挙権を得たこともあり、若者の動向が注目された。特に、今年2月の名護市長選挙では、若者の動向が政府・与党が支援する渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏の勝利を左右したと考えられたことから、両陣営とも若者対策に力を入れ、選挙活動でも若者が活躍する場面が多かった。

本稿では、特に沖縄の世代間の認識の相違や若者の動向という観点から、世論調査や筆者が行った学生へのアンケートを用いながら、今回の沖縄県知事選挙を読み解いていきたい。

 

主要争点は「辺野古移設」と「経済振興」

今回の知事選挙の最大の争点が普天間飛行場の辺野古移設の是非であったことは間違いない。NHKの出口調査によれば、投票で重視した争点について、「普天間移設」と答えたのは最も多い34%であった。そして「普天間移設」を重視した回答者の8割程度が玉城氏を支持した。また、普天間飛行場の辺野古移設については、62%が反対と答えた。

普天間飛行場〔PHOTO〕Gettyimages

それにもかかわらず、今回の選挙は、普天間問題が正面から議論されないという点で奇妙なものであった。

これは、佐喜眞陣営が、辺野古移設を推進する政府・与党の支援を受けながらも、この問題の是非は法廷に委ねるとして、争点化を回避したことによる。佐喜眞陣営は、経済振興、所得の向上などを全面に掲げ、選挙を戦った。

先ほどのNHKの出口調査によれば、投票で重視したものについて「地域振興」と答えた人は、「普天間移設」に次ぐ31%に上り、その多数が佐喜眞氏を支持した。

さらに、出口調査全体を年齢別でみたときに、30代以上では、玉城氏を支持する人々が多かったのに対し、10代から20代では、佐喜眞氏を支持する人が玉城氏を支持する人を上回ったのである。

佐喜眞陣営は、基地問題、特に普天間問題の争点化を回避し、経済問題に注力することで支持を確保しようとした。その主要なターゲットが、若者層だったのである。