『響-HIBIKI-』公式サイトより

60歳のコラムニスト、映画『響』で改めて平手友梨奈にヤラれる

この内面からにじみ出る強さを見よ
欅坂46のセンター・平手友梨奈さん主演の映画『響-HIBIKI-』。堀井憲一郎氏は若い頃から毎クール大量のドラマを見続けるコラムニストですが、同作を見て、平手さんのかっこよさに心を震わせ、改めてその魅力にヤラれてしまったそうです。多数の作品に触れてきたドラマ通をも打ちのめす、平手さんの普遍的な魅力とは。

「やばい」しか言葉が出てこない

映画『響-HiBIKI-』を渋谷の映画館で見た。

一緒に出てきた女子高生二人が、『響-HiBIKI-』の感想を語り合っていた。

「…やばい」
「やばいよ…やばい」
「いやほんと、やばいって。やばい」
「やばいね」
「やばいよ」
「ねー」
「いやいや、やばいって」

〔PHOTO〕iStock

ずっと同じ会話が続く。

「やばいしか言ってないけど」
「そうだよ……でも、やばいよ」
「たしかに、やばい」
「平手がね……いや、おもってたのとちがって」
「そう、やばい」
「やばかった」
「やばい。それしか言えない」
「いやだって、やばいもん」
「そう……、やばい。やばいよ」
「やばい」

 

ほんとにこう言っていた。同じことを言いながら、パチンコ店の前を通り、ビックカメラの前を通って、地下の駅に降りていった。

これが女子高生の映画『響-HiBIKI-』の感想である。

そして、私もそれが『響-HiBIKI-』の正しい感想だとおもう。

最初に見終わったあと、わたしも心震えた。何に震えているのか、しばらくわからないまま、茫然と映画館から出てきた。だから「やばい」しか言い合えない女子高生の気持ちがよくわかる(渋谷で見たのは3回目だった)。彼女たちと、やばいね、と言い合いたかった。

身体に直接、訴えてくる映画なのだ。

頭で納得するような作品ではない。悲しさや嬉しさで涙を出すこともない。いやあよかったと最後に笑う映画でもない。

ただただ、脅され、励まされ、揺さぶられた。そういう感覚だけが残った。身体だけ揺さぶられたのだ。すぐには言葉にできない。フォークソング風のエンディングの歌を聞いて席を立ち、ぼんやりと歩き、心動かされたものの正体がわからないまま、映画館をあとにした。

あまり、こんなことは起こらない。得がたい体験である。『響-HiBIKI-』はそういう映画なのだ。