100人が挑んでも勝てなかったエンジニアの存在が教えてくれること

島国思考から脱出する方法②

冷徹な目で日本を見れば

前回述べたのは、同調圧力にさらされる日本社会にあっては、若いビジネスマンが世界に通用するイノベーティブな人材たりうるのはなかなか厳しい、ということでした。

私は10年後、20年後の日本にあまり明るい見通しを持っていません。もちろん最近では若い優秀な学生が、大企業に就職するのではなく、起業家の道を選び始めているといった変化の兆しは見られます。17歳以下の小中高生、高専生を対象に、日本の第一級人工知能(AI)エンジニアなどがコーチングする「未踏ジュニア」の試みもスタートしています。

しかしトータルとして冷徹な目で見れば、今後も成長を続けていくであろう世界全体の20年後と、高齢化し成長が難しくなった日本の20年後とを同じ地平で語ることは出来ないとさえ思っています。今の20代が、日本社会と一緒にグローバルな流れから取り残されまいとするならば、結局のところ日本を飛び出すしかないのではないでしょうか。

 

なかには「自分はグローバルな競争に加わるつもりなどない」という人もいるかもしれませんが、たとえ日本に留まったところで厳しい現実が待っていることに変わりありません。その理由は言うまでもなく人工知能(AI)やロボットの飛躍的な発達にあります。
 
数年前、英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授らが2013年に発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文が世界的に話題になりました。この論文は米国労働省のデータに基づき、代表的な702の職種について今後10~20年以内にコンピューターに取って代わられる確率を試算。その結果、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至ったものです。

さらにオズボーン准教授らは2015年には野村総合研究所との共同研究を行い、日本に存在する601の職業についても、将来的に人工知能に代替される可能性を試算しています。その結果は、米国(47%)よりも少し高い49%もの人が、人工知能やロボットに代替される可能性が高いというものでした。

こうした、AIやロボットに代替される可能性が高い職種の一覧を見ると、事務職や販売接客業が多く並んでおり、それはある意味で多くの人にとって予想の範囲内かもしれません。

たとえばホテルのフロント業務、クローク業務、ポーター業務などをロボットにやらせることで注目を浴びた「変なホテル」は、第1号のハウステンボスを皮切りに、今や全国9ヵ所で展開しています。

しかしAIとの相性が良いのは、こうした比較的マニュアル化しやすい労働だけではありません。これまでならば専門的な知識が要求されていた仕事だって、AIは人間以上に正確かつスピーディにこなせるのです。