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日本でイノベーションが起こらないのはなぜか?ある投資家の答え

島国思考から脱出する方法①
岩崎 日出俊 プロフィール

そう考えれば、「イノベーションだ」「創造的破壊だ」とわかったようなことを口にしながら、その一方では均一性を刷り込むために始まった運動会を相変わらず学校行事として受け入れ、子どもたちに組体操をさせているのは喜劇でしかありません。

極端な話、トップが「創造的破壊」を掲げている会社で、「団体としての結束力を高めよう」として全員参加型の「社内運動会」が行われている、なんてことがあるかもしれないのです。

最近ではIT企業が数社合同で運動会を開催するなど、社内運動会はここにきて復活の兆しがあるそうですから、これは決して笑い話ではありません。

 

異端児を受け入れられない国に未来はない

現在スマートホンの基幹部品となっているNAND型フラッシュメモリを発明したのは、元東芝のエンジニア・舛岡富士雄さんであり、舛岡さんはこの功績によって、ノーベル賞開催の時期には必ず候補として名前を挙げられるほどになっています。しかし舛岡さんは、東芝入社後は地方の工場勤務に回され、必ずしも自分がやりたい研究ができる環境には恵まれなかったそうです。

大企業の地方工場だと、休みの日もそれこそ運動会など、会社の行事がたくさんあります。舛岡さんがそうした行事にどの程度かかわっていたのか実際のところはわかりませんが、基本的に休みの日は一人で寮の部屋に閉じこもり、自分の専門分野の研究に没頭していたそうです。

結局、舛岡さんが休日に寮に籠もって論文と格闘し、その後開発に漕ぎ着けたフラッシュメモリは、東芝の収益の大半を稼ぎ出す主力商品になりました。しかし舛岡さん自身はこれだけの功績をあげながら、東芝では部下・予算がつかない「技監」というポストに追いやられ、研究を続けることができなくなり退社せざるを得ませんでした。

同調圧力が強い日本にあっては異端児として扱われ、しかも功績に見合った処遇を諦めるくらいでなければイノベーションは生み出せないということを、舛岡さんのエピソードは物語っています。

協調性を生み出すという意味では、運動会にも意味はあるのでしょう。しかし、昨今ではその側面だけが強調され過ぎているように思えます。

企業はもちろんですが、まず、全国の小中学校で従来型の運動会を廃止する。突飛に聞こえるかもしれませんが、そういうところから変えていかないと、この国はいつまで経っても「均一性の呪縛」から抜け出せないのではないか…。私はそう思うのです。