あなたの市場価値が一瞬で分かる「残酷な問い」に答えられますか?

サラリーマン絶滅社会を生き伸びる④

大反響を呼んだ記事「まもなく、サラリーマン絶滅社会がやってくる」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57367)。最終回となる第4回目は、サラリーマン的思考から脱却するための「根本的な問いと思考法」について三戸政和氏が語ります。

日本企業の典型的な悪弊

今から15年くらい前、ある大手ベンダー企業で官公庁の基幹システムの営業を担当している知人が、こんな話をしていたのを覚えています。

「うちは1つのシステムを担当するのは1人か2人というのが基本なんだけど、日立とかNTTデータとかさ、競合の日本企業はまるまる一つの部門がひとつのシステムを担当しているのよ。コンペが行われる時なんか、こっちは一人でコンペに向かうのに、彼らは部長クラスから若手までぞろぞろと7、8人ぐらいで来る。別にそれだけの人数が必要なわけでも、提案がいいわけでもない。あんなに大勢で何しているのかなぁって思うんだけどね」

一人の優秀な人間がいればできることを、複数人で分担して、みんなで仕事をしている「ふりをする」。これは日本の大企業の典型的な悪弊です。15年前の話と言いましたが、いまでもそう変わりはないはずです。

 

みなさんにも心当たりがあると思いますが、取引先に仕事の打ち合わせに行くときに、課長が自分の部下を5人ほど引きつれていく、なんてことはよくあります。

取引先に出向いた5人の部下のうち4人は、おそらく取引先で何も話しません。ニコニコして相槌を打つか、せいぜい打ち合わせの冒頭でゴルフの話をするぐらい。特に意味のない会話を必死でタイピングしている部下もいたりします。

普通に考えれば、連れていく部下は一人で十分です。残りの4人には、新規の取引先を開拓するなどに時間と労力を使わせた方がいいはずなのに、それでもなぜか、課長は彼らを連れて行ってしまう。部下も、なにも疑うことなく課長についていく。

これまで私は「サラリーマンは間もなく絶滅危惧種になる」という話をしてきました。絶滅危惧種とは、大きな環境の変化に気づいていながら、リスクを採ってその変化に適応しようとしない種のことです。ビジネスの世界で大きな変化が起こっていることを知っているのに、その変化に適応しようとせず、今日も上司に言われるがままに、取引先についていく。ムダな会議に出席する。まったく価値のない議事録を作成する――。

あなたには、自分が絶滅危惧種に属しているという自覚はありますか? この一週間を振り返ってみて、「自分が出る必要のなかった会議」「自分が出向く必要のなかった取引先との打ち合わせ」がひとつもなかったと言えますか? 

ムダだと分かっていても、慣習だからとその「仕事」を続けてしまう。そんなあなたは「絶滅危惧種」に属していることを意識しなければなりません。ムダを放置したまま仕事をしていては、いずれその仕事はAIに奪われるか、あるいは合理化の名のもとにその仕事自体が消滅するでしょう。

絶滅危惧種から脱却し、生き残るためには、まず、自分の仕事の「ムダ」を意識し、それを変えるために行動することが必要なのです。

あなたはなぜスーツを着ているんですか?

仕事には、いろんなムダがあることでしょう。その一つ一つを挙げていくわけにはいきませんが、根本的な疑問を皆さんに投げかけたいと思います。

あなたは、「なぜサラリーマンはスーツを着て会社に行くのか」ということを考えたことはありますか?

「相手に失礼がないように」「信用してもらえないから」「わが社はみんな着ているから」という答えで自分を納得させているのなら、あなたは一生、絶滅危惧種から抜けられないでしょう。

スーツを着ていかなければ相手が怒ってしまう、あるいは取引先に信用してもらえない、ということならば、あなたは「スーツを着ていなければ怒られてしまう程度の価値」しかない、ということに気づかなければなりません。

「あんたじゃなくても誰に頼んでもいいんだよ。だからお客(私)に敬意を払って、丁重に扱いなさいよ。セールスマンはスーツを着てネクタイぐらいするのが礼儀ってもんだろ!」

と言われてしまいそうだから、スーツを着ているわけです。つまり、その仕事はあなたでなくてもできる仕事。誰でもいい。いくらでも代わりがいる。まさしく兵隊です。相手はあなたの名前も覚えていないかもしれない。ひょっとして、取引先に社名で呼ばれていませんか?