# おカネ論

投資家・村上世彰氏「僕がいま考えていること、やりたいこと」

お金の話は『はしたない』ですか?
村上 世彰 プロフィール

お金を「貯める」ことも大事だが…

―大人の中にも、お金のことを考えずに人生を送ってきた人は少なくありません。その意味では、大人が読んでも充分役に立つ内容ばかりです。

文章は子供向けにかなり噛み砕きましたが、内容そのものは大人の方が社会やお金について考える上でも、ご満足いただけると思います。

たとえば、本書後半では、「借金」について書きました。意外かも知れませんが、僕は借金が好きではありません。返さないといけないし、お金を返すのは予想以上に大変なことだからです。

最近は大学生の多くが奨学金を利用しています。親がかりではなく自分で学費を準備するのはいいことだと思いますが、一方で'16年度までの5年間で延べ1万5000人以上が奨学金がらみで破産しているというデータもある。

 

これは絶対におかしい話です。破産は法律で認められた「権利」だと言う人もいますが、僕は、借りたお金を返さなくていいという考えには賛同できない。そうではなくて、自分は借金をしてまで大学に行くべきか、それを18歳の時にじっくり考えることが大切です。

―「もっと若いうちにこの本を読んでいれば、人生が変わっていたかもしれない」と反省する人がたくさん出てくるかもしれません。社会的な貢献度も高い一冊です。

僕自身は、これまでも日本の経済や社会の役に立つことをやってきたという自負はありました。役人時代はもちろん、投資ファンドをやっていた時代も「企業のガバナンスの大切さ」を繰り返し訴えてきたのです。

しかし、世間的にはただの「金の亡者」という受け止められ方をしてしまった。これについては、僕のアピールの仕方が悪かったと反省しています。

お恥ずかしい話、昔は「俺は正しいことを言っている。俺の言う通りにすれば間違いないんだ」という意識が強かった。これでは、共感してもらえないのも当然です。

そこで、今回の本はまず子供たちの「疑問」が先にあって、それに対して「僕はこう思っているんだけど、どう思う?」というスタンスにしました。

僕も人生の折り返しをすぎて、謙虚になることを学んだのです(笑)。

―本書では「稼いで貯めて、回して増やす。増えたぶんはまた回す」というサイクルがいかに重要かを、何度も述べています。

この20年間の株の動きを見ていると、多少の波はあるとはいえ、全体として上昇していることがわかります。私自身は、あと4~5年は株価の上昇が続くと思っています。

読者の方の中には、将来への不安からなかなかお金を使えない人も多いかもしれません。貯めることは決して悪いことではありませんが、必要以上に「貯め込む」のはよくない。子供や孫の世代のことを考えれば、キープせずに動かしたほうがいいのです。

そうやって、皆の考え方が少しずつ変わって経済が回れば、景気が上向き、巡り巡って自分のためにもなるということを、ぜひ知って欲しいですね。(取材・文/平原悟)

『週刊現代』2018年10月13・20日号より