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太陽光発電で経済産業省がやらかした「甘すぎる見積もり」

もしかして、破綻寸前…?

普及が進むはずが…

経済産業省は今後、事業者や家庭から買い取る太陽光発電の価格を大きく下げる予定だ。

同省の改定案では、1kW時あたりの買い取り価格を事業用で'22年度にも「半額」にするという(家庭用は'25年度)。これまで、太陽光発電のコストは一部を消費者が負担しており、その抑制を促すのが主たる目的だ。

いまの太陽光買取制度は、再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」(FIT)のひとつで、太陽光で発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束するものだ。

 

電力会社は買い取る費用の一部を電気料金から賦課金という形で集める。まだコストの高い太陽光エネルギーの導入を、電気を使用する側が支援するかたちになっている。

この制度により、固定価格が一定期間保証されるので、太陽光発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進むとされてきた。

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こうした再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、世界50ヵ国以上で用いられている。再生可能エネルギーの助成政策としては一般的な手法だ。

日本においては、福田康夫政権の時に導入が検討され、民主党へ政権交代が行われた直後の'09年11月に余剰電力の買取制度が実際に導入された。そして'11年8月には再生可能エネルギー買取法が成立し、実践的な制度としての整備が議論されはじめた。

その後、買い取り価格の決定が行われた。当初専門家は、1kWあたり「30円台後半」としていたが、太陽光事業に参入するソフトバンクらが「40円以上」を主張し、結局、2012年の開始時には、10kW未満で実質48円(10年固定)、10kW以上で42円(20年固定)という破格の値段となった。

このような経緯もあり、太陽光エネルギーの導入は加速した。制度開始後の自然エネルギー導入量の9割以上を太陽光エネルギーが占め、再生可能エネルギー全体で日本の全発電電力量の12%程度が賄われている。

買い取り価格はスタートから徐々に引き下げられてきたが、世界の固定買取制度でも同様の傾向がある。このため、はじめの新規参入者ほど利益を出しやすい。

 

一方で利用者に負担を強いるデメリットもあるため、固定買い取りではなく市場価格を反映させたものへ形態を変える国もある。ドイツでは、'12年以降、順次開始。スペインでも、買い取り期間の短縮等の見直しが行われている。

日本の太陽光エネルギーの固定買取制度はそろそろ曲がり角に来ているのだろう。固定価格はそろそろ限界になりつつある。

太陽光以外の風力、地熱などの再生可能エネルギーの固定買い取りは継続していいだろうが、家庭用もある太陽光では価格の調整や、買い取り期間の短縮を検討する必要が差し迫っている。

これまでの価格設定では、太陽光では'10年の固定価格で設備の初期投資が回収可能になる場合があった。率直に言ってこれはあまりにも条件がよすぎた。消費者の負担は増える一方で、急激なメガソーラー建設がもたらす環境破壊も指摘されるようになった。

経産省の初期段階での見積もりはあまりにも甘かった。太陽光買取制度の見直しは急務である。

『週刊現代』2018年10月13・20日号より

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