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# 医療費

日本の財政を食い尽くす「医療費増加」が止まらない2つの理由

高齢者医療費と薬剤の高額化という難題

国民医療費過去最高へ

厚生労働省は9月21日、2つの統計数値を同時に発表した。1つは2016年度の「国民医療費」。病気の治療に要した費用の総額で、42兆1381億円。前年度に比べて0.5%減り、2002年以来14年ぶりに減少した。増え続けてきた医療費がついに頭打ちになったかと思いきやそうではない。

同時に発表された2017年度の「概算医療費」は、42兆2000億円と前年度比2.3%増と再び増加に転じた。

概算医療費は労災や全額自己負担の治療費は含まない速報値で、1年後に確定値として公表される国民医療費の98%に相当する。つまり、2016年度の医療費の減少は一過性で、2017年度は再び増加基調に戻るという発表をしているわけだ。

おそらく2017年度の総額である「国民医療費」は43兆円前後と、いずれにせよ過去最多になる見通しだ。

 

なぜ、医療費は減らないのか。

ここ十年来、医療費の増加が問題視され、このままでは国家財政を揺るがすと言われてきたが、抜本的な改革には程遠い。高齢化が進んでいるのだから仕方がないと言わんばかりの政府の対応が背景にある。

医療費が増加を続ける理由はいくつかあるが、中でも大きいのが高齢者の医療費の増加。

概算医療費の「75歳以上」の医療費の推移を見ると、2015年度に4.6%増と大きく増えた後、医療費全体が減少した2016年度も高齢者の医療費は1.2%増加、2017年度は4.4%増と再び高い伸びになった。2017年度の75歳未満の医療費の伸びは1.0%だから、高齢者の医療費が増え続けていることがわかる。

もちろん、高齢者の数が増えているのだから、当然とも言えるが、1人当たりでも増加している。2017年度の概算医療費の「75歳以上」1人当たりは94万2000円で、前年度の93万円から増加している。ちなみに75歳未満は22万1000円だ。高齢者ほど高額の医療費を使っているのである。

実際、医療費の60%に当たる25兆円は65歳以上の退職世代が使っており、子どもが6%だ。現役世代が使っているのは34%の14兆円あまりに過ぎない。

しかも、今後も75歳以上の後期高齢者の人口は増加する。2022年には団塊の世代が75歳以上に加わり始めるので、2024年ごろまで高齢者医療費の大幅な増加が続くとみられる。

何せ、現役世代の医療費は3割負担だが、高齢者になれば現役並みの所得がある人を除いて1割負担になる。負担が軽いことで、高齢者が気軽に病院に通う結果になっているとかねて指摘されており、自己負担の引き上げや初診料の引き上げなどを模索しているものの、高齢者医療費は全く減少する兆しが見えない。

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